虹色蝶々

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朝、起きると、女の子がいた。

「あ、おはよう。どう、眠れた?」

明るく聞かれて、反応に迷う。

「う、うん…」

布団に寝かされていた私。

起き上がると羽に違和感。

…痛みがない。

「…」

でも、女の子に聞くのも気が引けた。

治療してない場合、墓穴を掘ることになるからだ。

「…はい」

木のお椀に入った雑炊を渡されて、頭を振る。

でも、全然聞いてもらえず、渋々受け取る。

食べると、美味しかった。

「はぁ…」

やっと一息つけて、ため息がこぼれる。

「美味しい。ありがとう」

微笑みかけると、ぱぁっと顔が明るくなる。

「ううん!」

どうやら、感情が表に出やすいタイプのようだ。


女の子のその姿を見て、妹を思い出した。

…思わず、手に力が入る。

…私は、敵を打たなければならない。


「…ねぇ、傷、見せてもらってもいい?」

恐る恐る、聞いてくる女の子に頷く。

昨日とは違って、悪寒が走らなかった。

「…ん…まだ、治ってないけど、バイ菌はなさそう…」

布を外されて、状態を分析される。

でも、昨日よりか、本当に痛くなかった。

「…ありがとう、えと、」

名前がわからなくて困っていると、察した女の子が名乗ってくれた。

「私、木崎ゆりあ。あなたは?」

「…小木曽、汐莉、です」

ここから、私とゆりあの生活が、始まった。




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