虹色蝶々
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女の子が目をつぶった瞬間。
いきなり、七色の光が、目の前に溢れてきた。
赤、青、黄色、それそれが意志を持ったように自己主張する。
その輝きに、目を奪われる。
「う、わぁ…」
鳥の羽だった。
虹のように輝くそれは、微かな粒子を放つ。
羽が、女の子の背中から、右肩の方だけ、突き出ていた。
「…」
あまりの光景に唾を飲む。
里に降りた時、聞いたことはあった。
…ここから数キロ離れた里には、七色輝く鳥の羽を持つ人間がいるって。
…まさか、この女の子のこと…?
「でも、…たしか、、狙われてるんじゃ…」
里の人の話じゃ、幕府が狙ってるだとか、言っていたような。
そして、その懸賞金は、想像を絶するものだと。
「…でも」
こんなか弱い女の子を、傷つけるだなんて…そんなのおかしい。
「…」
ゆっくりと、その羽に触る。
すると、何故か、温かかった。
「…わぁ、」
粒子が、指についてしまったかのように、触れた部分の皮膚が輝きを放つ。
でもその光も、数秒で儚く散る。
幻想的で、現実味がない、現象。
「…あなたは、」
どういう人なんですか?
そう、眠った横顔に聞いてみても、当然、言葉は帰ってこなかった。
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