虹色蝶々
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「はっ…はっ…」
星空が輝く夜、私は怪我した腕を押さえながら、夜な夜な歩いていた。
背中が、腕が、ジクジクと疼いて、あまりの痛さに顔を歪める。
月が、雲に隠れていて、まるで私のようだと感じた。
意識がかすれかかってきた頃、ひとつの小屋を見つける。
そこに身を潜めようと、最後の力を振り絞り足を引きずる。
扉を開けると、少し埃っぽい。
あまり掃除のされていない部屋。
「っ…はっ…」
ドアを閉めて、崩れ落ちる。
痛すぎて話にならない。
「だ、誰っ」
「…!」
…部屋の隅から、聞こえる女の子の声。
その声に、はっとする。
「あ、ご、ごめんなさいっ、失礼しましたっ」
まさか人がいるなんて思いもしなかった。
こんな山奥にまだ人がいるなんて…
「待って!」
急いで出ようとドアを開けると、慌てて駆け寄ってくる女の子。
私の腕を掴むと、心配するように言う。
「…血の匂い…あなた怪我してるの?」
「…!」
女の子の嗅覚に驚いていると、腕を引っ張られる。
「消毒しなきゃっ」
「ぁぃたた…」
痛さを押し殺しながらも引かれるがまま中に戻ってくる。
…羽が、疼いた。
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