SKE48

□一緒に
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「ねぇ、生きてよ」

その言葉に、首をかしげる。

「どうして?」

金ちゃん、もう頑張ったんだと思うけどな。

もう、これ以上、何を頑張ればいいんだろう。

「っ、生きてっ!」

泣き叫ぶ花音を、優しく腕の中に収める。

さあ、どうしたものか。

「花音」

名前を呼ぶと、ぎゅっと、腕を回される。

「…金ちゃん、頑張ったと思うんだけどなー、ダメ?」
「ダメっ、絶対ダメっ!」

屋上で、二人、抱き締め合う。

天気は、あいにくの雨。

だから制服も髪も全部、びっちょびちょ。

「花音、授業始まるよ?」
「行かないっ」
「どうして、」
「行ったら金ちゃんいなくなるっ」

何をそんなに怯えているのか。

「…花音」
「やだっ、やだやだやだっ」

まるで駄々っ子のようにすがり付いてくる花音。

でも、どうもしてあげることもできない。

私は、もうこの世の中に希望を持つことが出来ない。

「…私、もう無理だよ」
「っ…なんで…!」
「…疲れたから」

花音の肩を押して、体を離す。

「私ね、もうこの世の中に未練なんてないよ。もう、ここにいたくないの。」
「か、花音は…どうすればっ…!」

そんなの、知らないよ。


「…じゃあさ、花音」


そんなに私と離れたくないなら。

当然、受け入れて、くれるよね?


「…一緒に、死ぬ?」


その瞬間、周りの雨の音が、よりいっそ私たちの耳を刺激した。

「…え、」
「…離れて欲しくないなら、一緒にきなよ」

花音の小さな手を引いて、フェンスまで来る。

「…どうする?」

手を離そうとすると、強く、握られる、手。


「…金ちゃん。」


その時の花音の表情を、きっと私は、一生忘れない。

――

「人が血流して倒れてるぞっ」
「救急車呼べっ!」
「何人だっ」

「二人ですっ!」

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