SKE48

□たまにでいいから
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「おぎしょ、」

特徴的なあだ名。

後ろを振り返ると天使。

「…おはようございます、茉夏さん。」
「うん」

同じチームで、先輩の茉夏さん。

とにかく、優しい。

そして、笑顔が天使。

「おぎしょー」

ぎゅーっと、抱きしめられて、顔が熱くなる。

「ちょ、茉夏さ、」
「なーに?」

あ、ダメだ。

笑顔が可愛すぎて、何も言えなくなる。

「…おぎしょ?」

…やっぱり、私って、茉夏さんのこと…

「おーぎーちゃーんー?」
「わっ!」
「なにしてんのさー」

後ろから抱きついてきたのは、同期のゆりあ。

「浮気?」
「してないよっ、てか、恋人同士でもないよっ」

ゆりあはほんと、言葉を知って言っているのか分からなくて困る。

「おぎしょ借りてるよー」
「えー、許可してませんよー…」
「ダメ?」
「ちょ…二人共…!」

私を挟んだまま話さないでくださいっ!

いろいろ悲しくなるからっ。

前からも後ろからも大きなもの当たってるからっ!

「おぎちゃんはゆりあのですっ」
「ちょっとくらい、貸してくれてもいいでしょ?」
「うー…」

ゆりあは、茉夏さんに対して弱い。

何がって、押しに弱い。

これがみぃちゃんとかになると、絶対言い返すもん。

というか、ほんとに離してっ。

愛李さんがニヤつきながら見てるからっ。

「お願い、ゆりあ。今日だけ。」
「…う、うー…今日だけですよ…?」

ん?ゆりあが負けたっ。

「…みぃちゃーん、」

渋々どこかに行ったゆりあの背中を見て、少し心配になる。

「…おぎしょ、お姉さんの顔してる。」
「え、あ、いや、…」
「…ゆりあがよかった?」
「そ、そんなことないですよっ」

そう言うと、明るくなる茉夏さんの顔。

「おぎしょ、好き」

時々、こうやって、定期的に甘えてくる茉夏さん。

ちゅりさんにでも、甘えに行けばいいのにって。

少し不思議に思う。

「おぎしょはね、安心するの」
「へっ?」

心を読まれたのか、と思い胸を抑える。

…はい、なんかすみませんでした。

「…なんでだろ、安心する」

膝の上に乗せられて、ぎゅっと、抱き締められる。

…甘い匂いがして、思わず頭を撫でる。

「気持ちいい、」

そう言って、笑う茉夏さんが可愛くて、私の顔に熱がたまった。

「…おぎしょ、」
「はい、」
「たまにでいいから、こうやって、甘えさせてくれない?」
「…はい。わかりました。」

胸がきゅうっと苦しくなったのは、気づかないふりをしよう。

――

「まなつぅぅうぅううぅっ!」
「うるさいぞっ、鳥!」
「ここの二人、なんなの、」

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