AKB48

□小さく
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「…あっちゃん、」

後ろから話しかけられて、後ろを振り返るも誰もいない…なんてことはなくて。

かろうじて大きなリボンが見えて気づく。

「…たかみな、」
「もっと早く気づいてくださいっす…」

少ししょぼんとしているたかみなの頭を撫でてあげる。

すると、たちまち笑顔になった。

「…」

ちょろい。

なんて思っちゃダメか。

「どうしたの?」
「それがっすね…」

たかみなの話を聞きながら窓の外に視線を移すと、ポツポツと雨が降ってきていた。

「ちょ、あっちゃん、聞いてる?」
「…雨だ」

窓の外を指さすと、たかみなも続いてみて、あぁ、と呟いた。

「午後から雨降るって言ってたっすね」

なにそれ、初知り。

「…傘持ってきてない」

「え、ええっ!?」

天気予報見てなかったのっ、という言葉に頷く。

「ほんと、マイペースですよねぇ…」
「朝、起きれなかったんだよ」

なんか、朝、傘に目が止まったのはこのことか。

直感を信じてればよかったな。

「…たかみな」
「分かったっす」

入れてあげますよ。

そう言って、仕方なさそうに笑う。

その顔、好き。

「…ありがとう」
「いえいえ、」

しばらく、そのまま、二人で雨を見続けていた。

――

「そういえば、たかみな」
「はい?」
「何しに来たの?」
「…あぁっ、まだ説明がっ…!」

慌てふためく彼女を見て、小さく、バレないように笑った。

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