AKB48

□好きな所
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合同での収録がある日、久しぶりに、AKB48の楽屋で過ごしていた。

そんな時、ある奴が話しかけてくる。

「なぁ、大場」
「あー?」
「私、可愛くなったかな…?」
「…は?」

私のパートナー兼恋人の島田。

そんな島田が、いきなり可愛くなったか聞いてきた。

「…知るかよ、んなもん他の奴に聞けよ」

冷たくあしらい、雑誌に目を向け直す。

どうしてか、こいつの事になると、態度が冷たくなってしまう。

「いや、もう聞いたんだって」
「なんて言ったんだよ」
「…か、可愛くなったって…」
「じゃあそれでいいじゃねぇか」

他のたくさんの奴から見ても可愛く見えたんならいい事だ。

ダイエットの成功とでも言えるだろう。

「よかったな」

そう言うと島田は顔を俯かせる。

…おい、これ、やばいヤツ

「大場のバカッ!」

大声で叫び、勢いよく楽屋から出ていく島田。

…おいおい、待てよ。

こんな状況で一人置いてく奴いるか?

「まーたきついこといったのー?」

鈴蘭が来て、机に手をつき顔を覗いてくる。

上目遣いにしてる辺り、かなり策士的である。

「…いってねーよ」
「でも島ちゃん出てっちゃったじゃん」
「ほっときゃ戻ってくる」
「…はぁ、ダメな彼氏さんだねー君も」
「…言ってろ」

…考えてみて欲しい。

痩せたとしても、あの島田に私が、可愛いなんて言葉、口が裂けても言えるか。

んなもん、恥ずかしくて死んじまうし。

…まあ、確かに、ダイエット頑張ったと思うけど、わざわざ口に出して言うことでもないと私は考える。

要するに、言わなくても分かってる前提で話を進めて考えてるわけで。

例え島田でも、仮に私の彼女だし、可愛くないと思わない方がおかしいというか…

っ、あーっ!

「ったく、めんどくせーなぁ」

雑誌を鈴蘭に押し付けて楽屋から飛び出していく。

まあ、あいつの行くところなんて、全部わかってっから、急ぐ必要もねぇけど。


「…島田」

「っ…ひっく、…」

やっぱりいた。

非常階段のちょうど死角の所。

「おめーここが好きみてぇだな。いつもここにいんじゃねぇか」
「…っ…るさぃ…」

少し怒ってる様子。

…たくよー

「おい、島田」
「んだよ、こっちくんな…」

こいつ調子乗りすぎだろ頭叩きてぇー。

「…一回しか言わねーから聞いてろ、」

ほんとに、いちいちめんどくせぇし、少しのことですぐ拗ねるし、

「…すっげー可愛くなったよ、晴香」

世話の焼ける彼女だよ。

おめーは。

「大場…!」
「…さっきは悪かった、」

でも、そこが、こいつの一番好きな所かな。

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