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□イチゴ
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『よう、泉。委員会の仕事お疲れさん。』

『あんまり遅いから先に食べちゃってるぜ。んめーっ!』

『あ!アキラ先輩!!わざわざ僕のとこから取らないでくださいよー!』

『まだまだいっぱいあるからね♪』

風紀委員の仕事で部活の集合時間に遅れたおれが部室のドアを開けると、そこにはボウルに山盛りになったイチゴとそれを囲むメンバーの姿。

『何、してるんですか?』

『んっとね、今日の朝テレビで見たイチゴがすっごい美味しそうだったから爺やに取り寄せてもらったの♪奏くんも食べよ!』

たつき先輩がおれのもとにイチゴの乗った皿を差し出す。
確かこれは、一粒1000円以上はくだらない品種だったはず。
さすがたつき先輩…

『たつき先輩、お気持ちは嬉しいんですが…』

『ん?どしたの?もしかして、奏くんイチゴ嫌いだった?』

『いえ、フォークか何かありませんか?練乳もついているみたいですし、そのままだと手袋が汚れてしまうので。』

『何だよ、泉。そのまま口でガブッといっちゃえよ。』

『アキラじゃあるまいし、そんな下品なことしませんよ。』

『はいはい、2人ともそこまで!んー、フォークはないし…奏くんだけ食べられないのも不公平だよね………あっ!』

たつき先輩は何かを思いつき、満面の笑みを浮かべる。
そして、イチゴを一粒手に取ると…

『はい、奏くん。あーん。』

『!!』

『奏くん?これなら手も汚れないし、イチゴも食べられるよね?はい、あーんして。』

可愛らしく首を傾げつつおれの口元にイチゴを近づけるたつき先輩の後ろで、3人がニヤニヤしながらこちらを見ている…
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