進撃の巨人

□あなたが好きだから
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馬を数頭ずつ外へ出し手入れをしているとその中の一頭の馬が突然暴れだし、巻き込まれそうになった。
高く振り上げられた馬の前脚に蹴られそうになって反射的に頭部を守ると、暴れる馬の手綱を引いてくれたのはエレンだった。


「落ち着け!落ち着けって!よし…いい子だ」


手綱を引かれ、ブルルと頭を振りながらも次第に馬は落ち着きを取り戻し、エレンは馬の鬣を撫でる。
完全に馬を落ち着かせた後、エレンは急いで私に駆け寄ってくれた。


「大丈夫でしたか!?間に合ってよかったです」


普段キリッとしている眉を下げて怪我はありませんか?と心配してくれるエレンに頷きお礼を言うと、エレンは安心したように息を吐いた。
よく見るとエレンの腕にはいつの間にか野良猫が抱えられていて、私と目が合うと野良猫はにゃあと鳴いた。


「どうやらこいつが突然足元を横切って馬が驚いたみたいで…でももう大丈夫そうです」


そうだったんだ、でも馬も猫も怪我がなくてよかった。
それに私もエレンのおかげで事なきを得た。

もう一度エレンに笑顔でお礼を言うと、エレンの頬が急激に赤くなる。

すると…


「いてっ…!」


今まで大人しかった野良猫が突然エレンの手の甲を引っ掻いてエレンの腕の中からぴょんと逃げ出した。
急にどうしたのだろう。

痛そうに少し顔を顰めて、エレンは引っ掻かれた手の甲を摩った。


「思わず手に力入れちまって…多分苦しかったんだと思います。猫には悪い事したな…」


疑問に思いどうして力を入れてしまったのか聞いたら、エレンは目を丸くして「そ、それは…」と何だか言いにくそうに口ごもったから無理に聞かない方がいいのかもしれない。
血が微かに滲んでいる引っ掻き傷にそっとハンカチを当てると、エレンはまた頬を赤くして「ありがとうございます」と呟いた。



「あなたは…ほんとうに優しいですね…」



何言ってるの、優しいのはエレンだよ、私を助けてくれたでしょ?



そう言って微笑むと、エレンは益々赤くなって下を向いてしまった。








【あなたが好きだから】
エレン

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