進撃の巨人
□雨降りの後の幸せ
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訓練が終わった頃に突然雲行きが怪しくなった。
急いで室内に戻ったけれど少し遅くて、体は冷たい雨に濡れてしまった。
外からはザアザアと先程より 大降りになっている雨の音が聞こえてくる。
「ついてなかったですね、もう少しで雨が降る前に中に戻れたのに」
苦笑いするエレンに頷いていると、びしょ濡れになった頭が突然ふわりと優しい感触に包まれた。
その感触に手を伸ばすと、真白いふわふわのタオル。
驚きに目を丸くしていると、背後から私の直ぐ横を通り過ぎたのは…ずぶ濡れの私同様、ご自身も綺麗な黒髪から雨の雫を滴らせているリヴァイ兵長だった。
「喋ってねぇでさっさと拭け。エレン、てめぇもだ」
「は、はい!ありがとうございます!」
こちらを見ずにエレンにタオルを投げる兵長の背中を、私は目を丸くしたまま見つめる。
そしてここでやっと気付いた。
この頭のタオルは、リヴァイ兵長がかけてくださったのだと。
私も急いでリヴァイ兵長にお礼を言うと、兵長は肩越しにチラリと私を見てくださる。
けれどそれ以上は何も言葉を発する事なく…兵長はそのまま歩いていってしまった。
「やっぱりかっこいいですよねリヴァイ兵長は、いつも俺達の事を気にかけてくださって」
顔を赤くする私に微笑むエレンに何度も何度も頷きながら、頭に柔らかく乗っているふわふわのタオルを抱き締めた。
自然と頬が緩んでしまう。
私は幸せだった
だって、気のせいかもしれないけれど
タオルをかけてくださった時
リヴァイ兵長がほんの少しだけ
タオル越しに優しく頭を撫でてくださった気がしたから
【雨降りの後の幸せ】
リヴァイ