進撃の巨人

□手のぬくもり
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「うわっ!?」


冬…それはあまりにも寒くて。
耐え切れず椅子に座ってるエレンの太腿の下に横から手をズボリと入れると、エレンは驚いて紅茶が入ったカップを落としそうになっていた。
エレンの温かな太腿で冷え切っていた両手をぬくぬくさせていたのに、エレンが太腿を上に上げたせいで温もりがなくなってしまう。


「ちょっ…人の太腿で手温めないでくださいよ!冷たいです!;」


余程冷たかったのかエレンが小さく体を震わせる。
でも温もりがなくなった事に私は少し頬を膨らませて片手でエレンの太腿を上から押さえつけ、もう片方の手を再びエレンの太腿の下へ入れた。
するとエレンが机に突っ伏して嘆く。


「うぅ…っ!強硬ですか!?;」

「悪くない…そのまま続けろ。エレン、忍耐力をつけるいい機会だと思え」

「兵長!そ、そんな…!;」

「確かにエレンって体温高そうだから温かそうだよね!フフフ…私も混ざっちゃおうかな〜?♪」

「絶対駄目ですハンジさん!;」


エレンの太腿で温めていた手を左右入れ替えていると、リヴァイ兵長とハンジさんと話していた筈のエレンが不意に私の両手を掴んだ。
そのまま両手を大きな手でぎゅっと包み込まれ驚きに上を見ると、エレンが照れ臭そうに頬を染めながらじっと私を見つめていて…胸が高鳴った。



「あ、あの…太腿は少し辛いですけど…手ならいくらでもどうぞ。温かいですか?」



うん……凄く温かい。

エレンの手の温もりが私の冷え切った手を温めていく。
こくりと頷くと、よかったと嬉しそうに笑うエレンが私の手に息を吐きかけてくれる。


「それにしても本当に冷たいですよね、指先赤くなってますよ」


赤くなった指先もきゅっと両手で包まれて、ぽかぽか安心する温もりに思わずふにゃりと笑う。
こんな事なら最初からエレンに手を握って温めてもらえばよかった。


「…おい、俺はイチャつけとは一言も言ってねぇ」

「まぁまぁ、冬だからこそ出来るイチャつき方だからね〜。大目に見てあげなよリヴァイ」

「チッ…クソみてぇな空間だ」



ニヤニヤ笑うハンジさんとリヴァイ兵長の大きな舌打ちが聞こえたけれど




私は幸せで、またふにゃりと笑った








【手のぬくもり】
エレン

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