進撃の巨人

□愛しいプレゼント
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「リヴァイ兵長、お誕生日おめでとうございます!!」


自室のドアがノックされリヴァイが入室を許可すると、リヴァイ班の5人と体中を赤いリボンでぐるぐる巻きにされたナマエが入ってきてその光景にリヴァイは読んでいた本をばさりと落とした。
他5人はともかくナマエの姿はまるでプレゼントのラッピングのようで…いや、“ようで”ではなくあれはラッピングのつもりなんだろう。


「オイお前ら…これは一体どういう状況だ」

「はい、今日は兵長へのプレゼントを持ってきました!」

「プレゼントなら昨日もらったが…」

「あれはクリスマスプレゼントです、今日はお誕生日のプレゼントを受け取ってください!」

「…………………」


にこにこと微笑むエルド、グンタ、オルオ、ペトラ、エレン達から視線を移動させリヴァイが赤いリボンでラッピングされたナマエを見ると恥ずかしそうに顔を赤くしており、恐らく5人に丸め込まれたのだろう。
恥ずかしがるナマエを5人が大丈夫大丈夫と煽てる様子が目に浮かぶようだ。


「それでは兵長、あとはお二人でごゆっくりお過ごしください!」


リヴァイが天井を仰ぎ呆れていると5人はにこにこしたまま早々に退室した。
あっという間にリヴァイの部屋には部屋の主とナマエだけになり、ソファに座りながら天井を仰いでいたリヴァイがプレゼントと化しているナマエを見ると今だ恥ずかしそうに顔を赤くしながら眉を下げていた。


「あ、あの…私は物じゃないからプレゼントにはなれないよって皆に言ったんですが…///」

「そういう問題でもねぇ気がするが……まぁいい。ナマエ」


リヴァイがソファから小さく手招きすると、赤いリボンのせいで動きにくいのかナマエがぎこちなく近付いてくる。
そのままリヴァイの隣りに座ったナマエをよく見ると足から胴体へとぐるぐる巻き付いているリボンがご丁寧に頭の上でちょうちょ結びになっており、ナマエの可愛いらしさを引き立てていた。


「随分動きにくそうだな、このまま歩いてきたのか?」

「いいえ、ここまではエレンが私を抱っこして運んでくれました」

「エレンだと?」


エレンにお姫様抱っこされているナマエを想像しリヴァイは少し眉間に皺を寄せた。
エレンが自分からナマエを運ぶと言い出したのか他の4人がエレンに頼んだのかナマエがエレンがいいと言ったのかは分からない。
だが何にせよ自分以外の男がナマエに触れるのは気に入らないのだ。


「リヴァイ兵長」

「?…なんだ」

「あ、あの……お誕生日おめでとうございます///」

「!」


頬を染めながら柔らかく笑うナマエにリヴァイの口の端も微かに上がる。
今日一日会う人間会う人間に祝いの言葉を貰ったが…この愛しい恋人の言葉が一番リヴァイの心に染みた。


「ああ……ありがとうな」

「あ」


リヴァイがナマエを抱き寄せ額にキスを落とすがタイミング悪く頭に巻いてあるリボンがずり落ちてしまいリヴァイの唇を遮ってしまった。
慌ててリボンを直したナマエは急いで目を閉じ顔を赤くする。


「も、もう一度お願いします///」

「…そんなに慌てなくても誰も逃げねぇよ」


その可愛いらしい様子に自然と他の所へも唇が伸びる。
柔らかな頬、長い睫毛の瞼、額と順番に口付けリヴァイは小さなリップ音と共に唇を離す。
嬉しそうに微笑むナマエの頭を撫でてやるとちょうちょ結びされたリボンが曲がってしまい、今は頭を撫でるのは我慢するかとリボンを直しながらリヴァイは思った。


「あのリヴァイ兵長、プレゼントの私は何をすればいいですか?そうだ、紅茶でも入れましょうか」

「いや…お前は特に何もしなくていい、暫くはあいつらがえらく気合い入れてラッピングしたらしいプレゼントを眺めてぇからな。紅茶なら俺が入れてやる」

「な、眺めるんですか?///」

「ああ、お前は俺のそばにいればそれでいい」


二人分の紅茶を入れひとつをナマエに手渡すと、熱いのかふうふうと息を吹きかけ紅茶を冷ます。
ナマエの隣りに座り直すリヴァイはそんな可愛いプレゼントをじっと眺めた。
最初こそこの姿に驚いたが見れば見る程愛着が湧いてくる。

一口紅茶を飲みリヴァイに微笑むナマエの頭からまたリボンがずり落ち、どうにも巻きの甘い頭部分はエレンが巻いたのではないかとリヴァイはリボンを直してやりながら呆れる。
エレンはこういった事が不得意そうだからだ。


「でも確かに皆一生懸命リボンを巻いてくれました、そのリボンを簡単にほどいてしまうのも勿体無い気がしますね」

「ああ…十分眺め終えたらラッピングを開けてやる」

「はい!プレゼントは中身を楽しみにしながらラッピングを開けるのが醍醐味ですもんね!リヴァイ兵長も楽しみですか?」

「…年甲斐もねぇがな」

「そんな事ないですよ、楽しみにしてもらえて嬉しいです!あ、でも私に中身なんてないんでした…箱のプレゼントなら蓋を開けたりといった事が出来たんですが…///」


しょんぼりしながら頬を赤くするナマエの横で、リヴァイは紅茶を飲みながらチラリと前を見た。

目の前にはベッド。
鈍く天然なナマエは予想もしていないだろうが……“ラッピングを開ける”とはつまりはそういう事なのだ。


「チッ、たく…一体誰が言い出しやがった」


ナマエをプレゼントしようだなんて。

嬉しい気持ちと部下達の思惑にまんまとハマっている自分が少し情けない気持ちが混ざり合いリヴァイは額を押さえた。
羞恥心に顔に熱が集まるなどナマエと出会うまでリヴァイは経験した事がない。

ナマエと出会い恋に落ち…リヴァイも随分と変わった。



「リヴァイ兵長?」

「……なんでもねぇ。さっさと紅茶飲んじまえ、冷めるぞ」



そんな自分を不思議そうに見上げてくる愛しい愛しいプレゼントの唇を指で撫で



リヴァイは優しく唇を重ねてやった








(Happybirthday Levi!)
2016.12.25

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