進撃の巨人

□1.別世界
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*トリップものです
*【進撃の巨人夢小説アンケート】にて中編の『トリップものが好きです!!!』というコメントを参考にさせて頂きました

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何故こうなったのかなんて分からない。
何故なんて考える余裕すらない。

今の私には…ただ自分が今まで生きてきた人生の中でまさに今が一番の窮地に陥っているという事しか分からなかった。



「おい!!ぼさっと口開けてんな舌噛み切りてぇのか!!」



頭上から、人生に一度あるかないかぐらいの勢いで怒鳴られ私は半泣きになりながら必死に口を閉じるけど仕方ないじゃない、木の間をまるでジェットコースターみたいにこんな生身の状態でビュンビュンすり抜けてたら恐怖で口も開くというものだ。

私の腰辺りに回された腕を力一杯掴んで必死に悲鳴を耐える。
今尚まるでジェットコースターのように風を切っていて私の髪は物凄い風力を受けて後ろに容赦無く靡く。
半泣きのまま後ろを振り返ると今までの人生で一番恐ろしい光景が広がっていてもう我慢なんか出来ず私は思いきり泣き叫んだ。

10メートルはあろうかという大きな人のような恐ろしい化け物…これをまさに“巨人”というのではないか。
映画や絵本ではたまに優しい巨人とかが登場したりするのを見た事があるけどとんでもない、優しさの欠片も見られない理性すらなさそうな巨大な人の形をした化け物…まさに“巨人”が後ろから物凄い勢いで追いかけてくるのだ。


「チッ!奇行種か…!」

「兵長!俺達に任せてください!」


突然横を人がすり抜けていって驚きにまた口が開く。
私の横をすり抜けていった人達は巨人の後ろへ回り込むと何をしたのか分からないけど巨人のうなじ辺りから血が吹き出し巨人が前のめりに倒れる。
その際巨人が伸ばした手の指先が私の額を掠めて、痛いと思った直後には生暖かいものが私の顔をどろりと流れた。

巨人が物凄い音と共に地面に倒れ、ジェットコースターのように木の間を移動していた私を抱えている男の人が木の上に着地する。
目まぐるしく変わる状況にまるでついていけなくて思考も頭もくらくらさせながら私を抱えている男の人を見上げると、男の人は私の顔の血を見て目を丸くした。


「兵長!背後より奇行種数体、再び接近してきます!」

「またか…一体何が起きてやがる…こいつが現れた途端急に騒がしくなりやがって…!ペトラ、お前はここでこの女を守れ!俺とエルド、グンタ、オルオで背後の奇行種を片付ける!行くぞ!!」

「「「「了解です!!」」」」


“兵長”と呼ばれた男の人がハンカチで私の顔の血を拭ってくれた後の事は全然覚えていない。


こんな混乱した頭でしかもこんな状況で全て鮮明に覚えていろなんて少し酷だ。



多分起きててもそうだと思うのに…気を失ってたら尚更覚えている事なんて出来やしない。
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