進撃の巨人

□甘い甘い生命維持
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「おい、止まれ。…チッ、鈍臭ぇな」


リヴァイ兵長が私の前方から近寄っていらしたから思わず勢いよく後退すると、兵長が止めてくださったのにも関わらず後頭部を壁にぶつけた。
後頭部を押さえているとリヴァイ兵長は尚私に近付いていらっしゃるから距離を取ろうとしても後ろには壁でもうこれ以上は無理だ。
そんな私を、リヴァイ兵長は眉間に皺を寄せジロリと睨み付ける。


「てめぇ…そんなに俺に近寄られるのが嫌だってのか?」


いいえ、寧ろその逆です。

首を激しく横に振る私に怒りの壁ドンをするリヴァイ兵長の綺麗なお顔が間近過ぎて、私は羞恥心とときめきで息も出来ない。
リヴァイ兵長の近くにいるだけで、いつもこんな風に呼吸が出来なくなってしまう。

だから私は自分の生命を維持する為にリヴァイ兵長に近付き過ぎないように日頃から気を付けてたんだけど、その努力ももう無理そうだ。
顔を真っ赤にして呼吸困難になっているそんな私を、リヴァイ兵長はじっと見つめてくる。

息が出来なくてクラクラしてきて、今私は真面目にリヴァイ兵長を突き飛ばそうかと考えている。
けど考えるまでもなかった、リヴァイ兵長にそんな失礼極まりない事は出来ない絶対出来ない。

そんな事をするくらいなら私はこのまま天に召されよう。
リヴァイ兵長に壁ドンされ、その上こんな間近で見つめられながら天に召される事が出来るなら本望というものだ。


「おい、全部声に出てんの気付いてねぇのか。こんくらいでてめぇは死ぬのかよ」


リヴァイ兵長が私の頭頂部をガシリと片手で掴み少し腰を屈めて顔を覗き込んでくる。
まるで尋問されているかのようなのにそれさえ魅惑的に感じる瞳に私が映っている。
本当に息が出来ない誰か私に酸素を。

酸素が足りなくて今にも倒れそうな私に、リヴァイ兵長は小さく溜息をつくと一度目を閉じた。
睫毛長い密度濃いなんてドキドキクラクラしていると、目を開けたリヴァイ兵長の視線に心臓を射抜かれる。
心臓射抜かれたら即死してしまいますなんて思いながらも、まだ奇跡的に私は生きていた。


「だがまぁ…てめぇに死なれると俺が困るんでな…そんなに酸素が欲しいならいくらでもくれてやる」



リヴァイ兵長のお美しい顔で視界がいっぱいになって



重なった兵長の唇から酸素が一気に入ってきて




また私はクラクラした








【甘い甘い生命維持】
リヴァイ

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