進撃の巨人

□普段鈍感だしデリカシーない彼のふとした時
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*現パロ
*ヒロインとエレン20歳くらいの設定

大丈夫という方はスクロールをお願いします↓


















『こんなのみつけたぞ』


短いこれだけの内容と一緒に送られてきた写真は、私が好きな画家の展示会のお知らせのポスターだった。
写真をよく見るとポスターはガラスケースの中に入っていて、そのガラスに反射してスマホでポスターを撮っているエレンと後ろにはミカサやアルミンやリヴァイさんがうっすら映っている。
これは…地下鉄の駅かな?見覚えある地下鉄の駅の柱や改札口も一緒にガラスに映っている。

それにしてもミカサやアルミンはともかく、表情までは分からないけどリヴァイさんが腕を組んで片足に体重を乗せている様子を見るとポスターを撮るエレンをわざわざ待ってあげているみたいだ。
きっとこの時のリヴァイさんは舌打ちでもして「チッ、さっさとしろグズ野郎」とかエレンに言ってそうで思わず苦笑いしてしまった。


「でも嬉しい…私がこの画家さん好きなの覚えててくれたんだ、エレン」


前に一度だけエレンにこの画家さんの事を話したけれどそれきり話してなかったのに…ちゃんと私の好きなものや話していた事を覚えててくれたのが嬉しい。
そしてこんな風に写真に撮って教えてくれるのも嬉しい。


「普段鈍感だしデリカシーないのに、ふとした時にこういう事出来ちゃうんだから」


机の上に置いてある私とエレンのツーショット写真を指で軽く弾きながら少し笑う。
嬉しさにちょっとイタズラ半分でキス顔作って自撮りして、その写真と一緒にエレンに返信する。


『ありがとうエレン、これ絶対行く!お礼にサービスショット』


エレンに返信して冷蔵庫からジュースを取り出しコップに注いでいると、返信がきたみたいでスマホが机の上で震えた。
ジュース片手にソファに座ると、グループトークでエレンの他にもミカサやアルミンからも何か来ていて驚いた。
ミカサやアルミンは今エレンと一緒にいるんだよね?一体どうしたんだろう。


『お前な、いきなりあんなの送ってくんなよ!ミカサやアルミンやリヴァイさんにも見られたじゃねぇか!』


あんなのとは自撮りの事だよね?別にいいじゃない、変な写真とかじゃないんだから。
エレンが顔赤くして怒っている様子が簡単に想像出来て私はくすくす笑った。


『ナマエ可愛い』

『ミカサに同じ(^^)』


ミカサとアルミンのも読んでこんなやりとりが楽しくて、やっぱりくすくす笑いながら冗談っぽく『どうもどうも』と返信した。
リヴァイさんの感想はないのかな?まぁあの人の事だからないだろうと思いつつも『リヴァイさんの反応求む』と送ると少ししてアルミンから返信があった。


『現在のリヴァイさんだよ(^^)』


アルミンがこっそり遠くから撮ったのか地下街の柱に背中をもたれさせて腕を組んでいるリヴァイさんの写真が送られてきて、感想どころか待ちくたびれてる感がひしひしと伝わってきて少し吹いた。
ごめんなさいリヴァイさん。


『ごめんね、リヴァイさんに謝っといて!また後でね〜』

『また後でな、飯楽しみにしてる』

『ナマエが気にする必要はない、あのチビはここに置いていく』

『あと10分くらいでそっちに着くよ、後でねナマエ(^^)』


ミカサの文面にまた吹いて私は作りかけの皆に振る舞う夕食を作るのを再開する、と言ってももう後は盛り付けだけなんだけどね。
今日はナマエ特製ハンバーグを作ってみた、我ながら美味しそうに出来て盛り付けもお洒落で上出来だ。

スマホで出来上がったハンバーグの写真を撮っているとインターホンが鳴ったから玄関を開ける。
そこには案の定エレン達がいたけれど、顔を覗かせた私を見て何故かエレンは目を丸くするから私は首を傾げた。


「ナマエお前っ…今誰が来たか確かめずにドア開けただろ!?」

「え?うん、そうだけど…何かダメだった?」

「ダメに決まってんだろ!女の一人暮らしなんだからもっと用心しろよ!危ねぇだろ!;」

「あ、ごめん。でもさっきアルミンがあと10分ぐらいで着くって言ってたから多分エレン達かなって思って…」

「多分ってなぁ…ハァ…お前って本当に危機感無いよな…;」

「おいてめぇら、さっきから随分イラつかせてくれるじゃねぇか…いちゃつくなら後でしろ」

「は、はい!すみませんリヴァイさん!;」


エレンを睨みながらリヴァイさんが不機嫌そうに私の部屋に上がる。
いけないいけない、確かにさっきからリヴァイさんを待たせてばかりだ。
リヴァイさんは私が案内するまでもなくリビングにズカズカ入っていった。
狭いしね、案内必要ないよね。


「お邪魔します」

「お招きありがとうナマエ」

「どうぞどうぞ!狭いけどゆっくりしてってね」


ミカサとアルミンも招き入れ、先にリビングに行っててもらう。
皆の靴を一通り綺麗に並べ、私はこっそりエレンに抱きつく。
エレンはそんな私の突然の行動に少し驚いていたけど、優しく微笑んで抱き締めてくれた。


「エレン、さっきは展示会の事教えてくれてありがとう。嬉しかったよ」

「いいって、展示会はいつ行くつもりなんだ?」

「まだ決めてないけど前売り券買うつもり。一緒に行こう?」

「ああ、いいぜ。あ…あとよ…」

「何?」

「自撮り…さっきはあいつらの前だったからあんな返信しちまったけど…ちゃんと…か…可愛かったからな…」

「……………」


顔赤くしながら照れたように視線を逸らすエレンの頬に背伸びしてキスをして、二人で笑い合う。
ありがとうエレン…普段鈍感だしデリカシーないのに、ふとした時にこういう事言えちゃうあなたが大好き。

皆が待ってるリビングにエレンと二人で入る。
するとすっかり忘れていた私とエレンのツーショットの写真が机に置いたままになっていて。
そしてそれがあろう事かリヴァイさんの席の真ん前に置いてあって。
私がその事に気付いた時には既に遅くリヴァイさんにジト目で睨まれてしまった。


「客への配慮がなってねぇ。手土産のティラミスは欲しくねぇらしいな、ナマエよ…」

「ほ、欲しいですリヴァイさん!ああ!お願いですからその手を離さないでくださいね!?」


怒りのオーラを纏ったリヴァイさんが高級デパートに入っている美味しいと評判のお店の紙袋を持った片手を床と平行に伸ばす。
その手が紙袋から離れたらティラミスがぐちゃってなるじゃないですか。
私が急いで紙袋の下に両手を差し入れると小さく溜息つきながらリヴァイさんは私の手の上に紙袋を置いてくれた。







(普段鈍感だしデリカシーない彼のふとした時)
2016.6.21

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