進撃の巨人

□恋のキューピット
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*全くたいした事ないですが、エレンとミカサ、モブリットとハンジ、オルオとペトラの男女カプ要素があります

大丈夫という方はスクロールをお願いします↓

















ドン!!


「あ!すみません!」

「きゃ!?」

「うわっ!」


調査兵団本部の廊下を歩いていたら、よそ見をしていて誰かとぶつかってしまった。
急いで謝ったけれど、私の目の前には私がぶつかってしまったであろう女性先輩と、その女性先輩がぶつかってよろめいた先に偶然いた男性先輩が女性先輩を咄嗟に抱きとめている光景があって…少し「お?」と思ってしまった。


「あ…ありがとう…」

「い、いや…大丈夫か?」


お?おお?

男性先輩に抱きとめられた女性先輩は少し顔を赤くして、女性先輩を抱きとめた男性先輩も顔を赤くしていて…そのままいい雰囲気のまま二人は見つめ合っている。
二人を交互に見上げた私はやっと自分がお邪魔な存在だと気付きその場を後にした。


「ふふふ、何だか恋のキューピットになった気分」


実際私はなったんだと思う、あの二人の恋のキューピットに。
きっとあの二人はあれが出会いのきっかけになって、あのまま恋へと発展していくんだろう。

そしていずれは、淡い恋心は深い愛へと変わり………。


「きゃーー!!いいないいなーー!!私もそんな出会いしたいなーーー!!///」


人目も気にせず乙女モード全開で体をくねくねさせていると(私の横を通り過ぎていったジャンが呆れた顔してた)私はハッと気付いた。
きっと私には恋のキューピットの素質があるんだと思う、だってあんな奇跡的なタイミングで若い男女が二人近くにいて私がぶつかり男性が女性を抱きとめ二人が出会うなんて…普通なかなかありえない。
きっと私は兵士ではなく、恋のキューピットとしての使命をこの背中の自由の翼に宿し生まれてきたのだ。

兵士はきっと恋のキューピットとしての使命のサブ的な感じなのだ。


「…っこうしていられない!ジャン、少し手伝って!」

「うお!?お、おい!いきなり何なんだよ!;」

「きっとこのタイミングでジャンが私の横を通ったのも偶然じゃないんだよ!だから手伝って!」

「はぁ!?ふざけんな意味分かんねぇんだよ!おい!;」


ジャンの腕をぐいぐい引っ張りながら歩きだすと、ジャンの方が力強いんだから本当に嫌なら簡単に振り払える筈なのになんだかんだでちゃんと一緒に来てくれるのが嬉しいし、ジャンは本当に優しいと思う。
私がジャンの腕を両腕で抱き締めるようにしてジャンを見上げ笑うと、ジャンは呆れたような顔をしながらも頬を赤くした。












「ふふふ、出来たー!私だけの恋のキューピット兵団マント!」

「そうか…よかったな…」

「うん、ありがとうジャン!これで恋のキューピットの使命を全うできそう!」

「おう…頑張れ…」

「うん!」


何故か疲れた様子のジャンの横で、ピンク色の恋のキューピット兵団マントを羽織る。
背中の翼はどちらも純白の白い翼が輝いていて、今にも空へ飛び立てそうだ。
ピンク色の布地部分は恋のキューピットとしての力を底上げしてくれそうだし、なんとも乙女心をくすぐる可憐さ。

可愛い…このマントは可愛いぞ。


「じゃあ早速行ってくるね!」


可愛いマントにテンションを上げながら裁縫道具をしまっているジャンに手を振ると、ジャンもフ…と優しく笑ってくれる。
何だかその笑顔が凄く大人っぽく私には見えた。


「ああ、あんまはしゃいで転んだりすんじゃねぇぞ」

「そこまで子供じゃないよ!馬鹿ジャン!」

「どうだか」


くしゃくしゃと頭を撫でられながら笑われて、私は少し頬を膨らませた。
同い年に子供扱いされるなんて少し悔しい、恋のキューピットともあろうものが。


「まだ見ぬ恋人達が私を待ってるからもう行くね!」

「分かった分かった、頑張れよ」


ジャンが机に頬杖つきながら手を振ってくれる姿を見つめながら私は部屋のドアを閉めて、まだ見ぬ恋人達を探しに本部の廊下を走り出した。











「いたいた!エレンとミカサ♪」


廊下で話しているエレンとミカサ(ついでにアルミン)を見つけ私は物陰に隠れる。
三人をその状態で見ているとアルミンが私に気付き、驚いたような顔をして目で「そんな所で何してるの?」と言っていたけど私は口の前に人差し指を持ってきて静かにしててとジェスチャーする。


「…………………」


こそこそとエレンとミカサに気付かれないように近付き、私は二人の直ぐ後ろまで近付く事に成功して含み笑いした。
そんな私の様子をアルミンは苦笑いしながら見守ってくれて、恋のキューピットの使命を邪魔しないでくれる理解者のアルミンには感謝しないと。

そっと両手を伸ばし、私は静かに深呼吸した。


「………っえい!」

「!?」

「うわっ!?」


やったぁ!成功!!

ミカサの背中を押し、ミカサの前にいたエレンの驚いた声が聞こえた。
私は無事使命を全うしその場から風のように立ち去った。










「あ、ハンジさんとモブリットさん発見♪」


廊下を並んで歩いているハンジさんとモブリットさんの後ろにコソコソ近付く。
途中曲がり角から現れたミケさんがアルミンと同じように「何をしてる?」と目で言っていたけどやっぱりジェスチャーで静かにしててくださいと伝えた。


(横に並んでるから背中を押す方法は無理だなぁ…)


どうしようかと考えた結果、私はハンジさんのジャケットの裾を力一杯モブリットさんの方向へ引っ張った。


「どわっ!?」

「分隊長!?」


よし成功!!

ハンジさんがバランスを崩しモブリットさんの方へ体が傾くのを見届け、ミケさんの呆れたような顔の横を私は風のように通り過ぎた。











「ナマエ…てめぇ、ふざけた格好で何してやがる」

「!(静かにしててください!)」

「…………………」


廊下で二人で何か言い争っているオルオさんとペトラさんを見つけ、物陰に隠れて二人の様子を見ていると後ろからリヴァイ兵長が恋のキューピットの使命を邪魔してきたので再びジェスチャーで静かにしててくださいと伝える。
リヴァイ兵長もミケさん同様呆れた顔をしながらも使命を理解してくれたのか黙ってくれた、ご理解に感謝します!

「ここにいてください」とリヴァイ兵長にジェスチャーで伝えると恋のキューピット兵団のマントを靡かせ、私はオルオさんとペトラさんへ近付く。


「だからいい加減リヴァイ兵長の真似やめなさいよ!」

「フ…俺を束縛するなんてまだまだ早いぞペトラ?」


そっとペトラさんの背後に近付き…その背中を迷いなく押す!


「きゃあ!?」

「!?ペトラ危ねぇ!」


成功!!

ペトラさんの小さな悲鳴とオルオさんの男気ある声を背中で聞きながら、使命を見守ってくれていたリヴァイ兵長の元へ帰還する。
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