進撃の巨人

□癒されるカップル
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*『可愛いカップル』の同一ヒロインです↓

















ナマエさんとリヴァイ兵長はお互い分かりやすい、何が分かりやすいのかというとお互いしょっちゅうヤキモチ焼いてるって事だ。
ヤキモチを焼くという事はそれだけお互いに夢中という事で、簡単に言っちまうとナマエさんとリヴァイ兵長はそれだけ熱々という事だ。
その姿は俺達傍観者からすると見ていて微笑ましい。

例えばナマエさんの場合、リヴァイ兵長とペトラさんが二人で話していたりすると途端にそわそわしだす。
チラチラ二人の方を見ては眉を下げて落ち着かなくなる。

俺は目の前にいるナマエさんを見ながら苦笑いした。
だって今、まさにその状態だからだ。


「あぅ……う……」

「ナマエさん?俺の話し聞いてくれてますか?」

「う…ん……聞いてる…エレン……」


聞いてないなこれは…まぁ別にいいんだけどな、大した話しでもないし只の雑談だし。

リヴァイ兵長とペトラさんはただ単に業務連絡してるだけなんだが…ナマエさんはそれでもやっぱり気になるみたいで二人の事をまだチラチラ見て眉を下げている。
でもそれはリヴァイ兵長の事を信用してねぇとかじゃなくて特に理由はねぇが気になっちまうんだろう…恋とかまだした事ねぇ俺にはよく分からないがそれらしい事を前に誰かが言っていた。


(それにしても本当にリヴァイ兵長の事が好きなんだな、ナマエさん)


こんなにナマエさんに想われてるなんて…リヴァイ兵長が少し羨ましい。
ヤキモチを焼くナマエさんは正直いいと思う、こんな可愛いらしいヤキモチ焼かれて男なら嬉しくないわけねぇ。

暫くそんなナマエさんの様子を見てると、ナマエさんが持っている資料が落ちそうになっていた。
きっと二人に気を取られてるせいだろう。


「ナマエさん、資料が落ちそうですよ」

「あ…」


白い手からずり落ちそうになっている資料に俺が手を伸ばすのと、ナマエさんが持ち直そうと資料に添えた手が同時に重なった。
ちなみに 微かに頬を染めたナマエさんと目が合うのと、横から物凄い早さで伸びてきた手が俺の手首を握りつぶしそうな勢いで掴んだのも、同時だった。


(そ、そうだ…ここにももう一人…ヤキモチ焼きの人がいたんだった…;)


ナマエさんのような可愛いらしいヤキモチじゃねぇけど…;

もうわかりきってる事だが、一応俺の手首を掴んでいる人物を恐る恐る見ると…案の定リヴァイ兵長が恐ろしいまでに眉間に深い皺を作って俺を睨み上げていて俺は震え上がった。
この睨みだけで大抵の奴は死ねる。


「おいエレン…こいつに気安く触るんじゃねぇ」

「は、はい…すみません…リヴァイ兵長…;」


偶然重なっちまっただけなんですと心の中で泣く、口に出しても聞き入れてもらえるわけねぇからだ。
まぁその前に口に出す勇気なんて俺にはない。

掴まれた手首からグギギギって骨が軋む音がする中俺が謝ると、リヴァイ兵長は俺の手を離してナマエさんの持っている資料をスッと持ってあげていた。
相変わらずナマエさんには優しい。


「あ…ありがとうございます…リヴァイ兵長…///」

「……ああ」


頬を染めてリヴァイ兵長を見上げるナマエさんと、じっとナマエさんを見つめるリヴァイ兵長がお互い暫く視線を交わす。


「「「「「……………」」」」」


俺を含むリヴァイ班の皆さんも、そんな二人の邪魔をしないように静かに見守った。
きっとお互いがお互いの元に戻ってきて嬉しいんだろうな…こんなに近くにいる俺も多分二人からしたら既に空気なんだろう。


「…行くぞ、ナマエ」

「…はい」


リヴァイ兵長が手を差し出すと、ナマエさんは柔らかく微笑みながら兵長の手にそっと小さな手を重ねた。
…何だろう、二人共大人なのにその姿は幼馴染みの男の子と女の子が手を握り合うような初々しさというか微笑ましさがある。

そのままリヴァイ兵長がナマエさんの手を引く形で二人は部屋から退室しちまったんだが、空気になってた俺の心は何だか満たされていた。
手首は痛ぇが凄ぇ癒された…なんなんだこれ。


「本当にあの二人は…何とも言えない雰囲気があるよな」

「ああ、ずっと見ていたくなるような感じだ」

「異議なし」

「うんうん」


エルドさん、グンタさん、オルオさん、ペトラさんも俺と同じ心境みたいでその顔は穏やかに微笑んでいた。


「………………」


いつだったかハンジさんがあの二人の事を可愛いと言ってたが、まさにその通りだよな。
あの時、俺もリヴァイ兵長とナマエさんみたいにいい恋をしようと思った。
その気持ちは今も変わらない。

俺にもいつか…二人みたいな出会いが本当にあるのか?


(いや…そう信じよう…巨人を駆逐したら…きっと…!)


リヴァイ兵長とナマエさんが出ていった部屋のドアを見つめながら、俺はいつかみたいに拳を強く握り締める。


窓の外に広がってる青空を二羽の小鳥が横切って…その仲の良い様子がまるでリヴァイ兵長とナマエさんみてぇだと思った。






2017.7.15

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