進撃の巨人

□君といるだけで
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「エレン、ミカサ、アルミン!私も一緒に筋トレしていい?」

「ああ、勿論いいぜ!」

「ナマエ、私と組もう」

「え、ミカサ…ちょ…っ」

「何?アルミン」

「う、ううん…何でもない…;(ミカサ…有無を言わせないオーラが出てる…)」


第104期訓練兵達は今日も訓練に精を出していた。
筋力を上げる為訓練兵達は外でそれぞれ自主的にトレーニングをする中、エレン、ミカサ、アルミンの三人は新たにナマエを加えトレーニングを再開した。

密かに恋心を寄せているナマエと正直ペアを組みたかったアルミンだが、ミカサの圧力に屈してしまい苦笑いを浮かべた。


「何する?ミカサ」

「腹筋。ナマエ、足を持っててあげる」

「うん、ありがと!」


地面にぺたんと体操座りして柔らかく笑うナマエに、笑いかけられたミカサは勿論、エレンとアルミンもきゅんと胸がときめく。
ミカサが足をしっかり押さえると、ナマエは早速腹筋を始めた。


「い〜ちっ…に〜いっ…さ〜んっ…!」


ナマエは筋力が乏しい為それを補おうと人一倍頑張るのだが、どうにもなかなか筋力がつかない。
よくミカサの筋力を羨ましがってミカサのようになりたいとよく食べよく動くようにしているが、元々食が細い為よく食べるようにしていると言っても他の人の普通かそれより下程しか食べられない。


「……っうぅ〜!」

「ナマエ、もう少し」

「…相変わらず筋力ねぇな、ナマエは」

「う、うん…」


その為ナマエは筋トレは苦手としている。
腹筋を始めて早々に動きが止まり、途中で上がらなくなってしまった。
プルプルお腹を震わせながら一番キツイ位置で止まっているナマエを見兼ねたエレンが人差し指でその背中を押して手助けしてやると、難なくナマエの上半身は起き上がった。
指で助けられる程、ナマエは兵士を志しているとは思えない華奢さなのだ。

一番キツイ位置から脱したナマエは、ふぅと脱力した。


「ありがとうエレン!じゃあ次はミカサの番ね」

「うん」


ナマエとミカサが交代すると、ミカサはナマエとは大違いで軽々と腹筋をこなしていく。
その様子にナマエは暫く目を丸くして驚いていたが、次第に満面の笑みになっていく。


「凄い…さすがミカサ!凄いね!凄い!」

「………………」


ナマエにキラキラと尊敬の眼差しで見つめられながら腹筋をするのはなかなか恥ずかしいもので、ミカサは順調にこなしていた腹筋が無意識に止まった。


「どうしたミカサ?お前に限ってもう出来ねぇなんて事ないだろ?」

「……エレンもやってみれば分かる」

「は?」


顔を両手で覆い隠しているミカサの耳が赤くなっており、エレンは首を大きく傾げた。
いつものミカサらしくない、どこで乙女スイッチが入ったのか。


「んじゃあナマエ、今度は俺の足持っててくれよ」

「いいよ、頑張ってねエレン!」


ナマエの前に体操座りし、エレンの足をナマエが持つ。
自然と近くなる顔に、エレンは自身の心臓がどきりと跳ねたのを感じた。
すると何か考えているような様子のナマエが、何か閃いたのか小さく頷く。


「ねぇエレン、私の号令に合わせて腹筋してみて!」

「は?あ、ああ…分かった」

「号令を早くしたり途中で止めたりするから、自分のペースで出来ない分大変だと思うけど筋力アップにはなると思うよ!」

「成る程な、いいぜ」

「じゃあいくよ?1234567891011…!!」

「ちょっ…早!?いくら何でも早ぇよナマエ!;」

「プッ!ふふ、ごめんねエレン」

「たく……」


エレンの反応に小さく吹き出して柔らかく笑うナマエ。
可愛いイタズラに、不貞腐れながらもエレンの頬は赤く染まっていく。
いい感じの雰囲気を醸し出している二人を眺めながら、ミカサは何やら顎に手を当て考え込んでいる。


「……アルミン、どちらも可愛い場合はどっちを抱き締めればいいと思う?」

「え!?え〜と…りょ…両方…?」

「……そうか、確かにアルミンの言うとおりだ。二人共可愛い」

「きゃあ!ミ、ミカサ!?///」

「おいミカサ何しやがんだ!離せよ!」


ナマエとエレン両方を抱き締めるミカサに、ナマエは赤くなってあわあわし、エレンはムッとして怒る。
そんな微笑ましい光景に、アルミンも自然と笑みが零れた。





訓練をしながらも心は癒される。

そんな不思議で心地良い空間が…確かにそこにはあった。









(君といるだけで癒される)
2016.3.12

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