進撃の巨人

□予想外のハッピーエンド
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*現パロです
大丈夫という方はスクロールをお願いします↓















「でさ、あそこが面白かったよな!最後のアクションシーン!」

「うん、迫力あって凄かったよね」


カフェに入りホットコーヒーを注文し、トレイに乗せて空いている席を探していたら何だか今日は混んでいて…唯一空いているのが男の子二人と女の子一人のグループが座っている席の隣りだった。


(三人共15歳くらいかな?という事は私より5歳年下かぁ…)


その子達は映画か何かの話題で盛り上がっていて、活発そうな男の子が金髪の優しそうな男の子に興奮したように話していて何だか可愛いかった。
クールそうな黒髪の綺麗な女の子は、そんな活発そうな男の子をじっと見守っている様子でそれもまた可愛い。

そんな微笑ましい子達に近寄って、私は声をかけた。


「お話中ごめんね、隣りいいかな?」

「あ、はい!どうぞ!」


活発そうな男の子に微笑みながら声をかけると、男の子はハキハキと返事をしてくれて本当にイメージ通りの子だ。
金髪の男の子と黒髪の女の子にも小さく会釈して、隣りに座らせてもらう。

カバンから文庫本を取り出し、コーヒー片手に早速読み進める。
最近お気に入りの推理小説。

すると金髪の男の子が少し笑いながら、活発な男の子にひそひそ何か呟いた。


「綺麗な人だね、エレン」

「は?な、何言ってんだ!聞こえたら失礼だろ!黙れよアルミン!」

「褒めてるんだから、失礼ではないと思うけど…エレンの声の方が、大きい」

「うるせぇミカサ!」


あれ、何だか嬉しい言葉を頂いてしまった。

くすくす笑うアルミン君と、焦っているようなエレン君、冷静にエレン君に突っ込みを入れるミカサちゃん…名前まで分かってしまった。
推理小説を読んでいたのに三人の会話が気になってしまって、内容があまり頭に入ってこなくなってしまった。

耳をダンボにしながらコーヒーを飲んでいると、不意に私の横の席に座っていた軽そうな男が声をかけてきた。


「ねぇ、君一人?」

「え?は、はい…一人ですけど」

「そうなんだ〜俺も一人なんだよ、よかったら今から俺と一緒にどこか遊びに行かない?」


ナンパか…そう思い作り笑いが引きつった。
慣れた様子で私に話しかける男はきっとナンパ慣れしてるんだと思う。
しかも周りにこんなに沢山人がいるカフェでナンパとかやめてほしい…恥ずかしいじゃない。
声を潜めようともしないナンパ男の声はカフェ内に結構響き、周りのお客さん達が私の方をチラチラ見てくる。
とてつもなく恥ずかしくて今にも逃げ出したくなった、熱くなる顔から火が出そうだ。


「い、いえ…結構です…」

「そんな事言わずにさ〜いいじゃん、カラオケでも行こうよ!」

「カラオケ好きじゃないので…」

「え、そうなの?珍しいね〜じゃあ他の所でもいいよ!勿論俺が奢るからさ!」

「結構です……」


しつこいなぁもう…早く何処かに行ってよ。
あと声、もっと小さくしてよ。

心の中では悪態をつけるのに怖くて体は動かない…ああもう、私の小心者。
まだ殆ど飲んでいない飲みかけのコーヒーを残してお店を出てしまおうかと思い始めた時だった。


「おい…その人が嫌がってんのが、てめぇには分かんねぇのかよ」


突如聞こえた低音の声に横を向くと、エレン君が眉を釣り上げてナンパ男を睨み付けていた。
私は驚きに思わず口がぽかんと開いてしまった。

だって、なんて勇気がある子なんだろう。

今までナンパをしていて自分に何か言ってきた人に初めて会ったのか、ナンパ男は戸惑っているようだった。
確かに…大抵の人だったら見知らぬ女がナンパされてても見て見ぬ振りをして何も言わないだろう、何か言って巻き込まれるのも面倒だろうし。
でも、エレン君は…他の人とは違った。

ナンパ男が黙っていると、エレン君は益々目を鋭くしてイスからゆっくり立ち上がる。


「おい…聞いてんのか…分かんねぇのかって言ってんだ!!」

「ひっ…!な、なんだこのガキ…!」


エレン君の怒声がカフェ内に響き、ナンパ男は身体をビクつかせて急いで逃げて行った。
ナンパ男がいなくなり、一部始終を見ていた店内のお客さん達から自然と拍手が湧いた。

エレン君は暫く逃げて行ったナンパ男を睨み付けていたけど、我に帰ったようにハッとして急いで私を見た。


「あの、大丈夫でしたか!?」

「う、うん大丈夫…ありがとう」


その顔はすっかりナンパ男が現れる前のエレン君の顔に戻っていて、私の事を心配してくれているようだった。
私の言葉を聞くと、エレン君は安心したように少し笑い、イスに座った。


「そうですか、よかった…」

「エレン、かっこよかった」

「うん!」


ミカサちゃんとアルミン君が、エレン君に微笑みかける。


「あ、あの…エレン君…怖くなかったの?」

「え?」


思わずエレン君にぽつりと聞くと、“怖い”という感情を知らないかのように私の質問に不思議そうに首を傾げた。


「怖いっつうより…ああいう野郎見ると頭にくるんです」


……凄い、男気があるというか正義感が強いというか。
大人でもなかなかこんな人はいないんじゃないかな。
私が感動していると、アルミン君がお店の時計を見て「あ」と声を上げた。


「エレン、ミカサ。もうすぐサシャとコニーと待ち合わせの時間だよ」

「え、もうそんな時間か?じゃあそろそろ出ようぜ」


エレン君達がトレイを持って席を立つ、なので私も急いで立ち上がってエレン君に「あの!」と声をかける。
お互いに立ち上がって分かったけれど、私より随分エレン君は背が高かった。
振り返ってくれたエレン君に、私は微笑んだ。


「エレン君…本当にありがとう」

「気にしないでください、これから暗くなりますから気を付けて帰ってくださいね」

「うん」


エレン君は優しく笑って私に小さく会釈してくれて、少し前で待っていたミカサちゃんとアルミン君と一緒にカフェから出ていった。
その背中を見送った後イスに座り直して、ふう…と小さく息を吐く。

エレン君がもう少し大人だったら…連絡先とか聞きたかったかもしれない。
年下だけど…あんな素敵な男の子、この先なかなか出会えないよ。


でももう二度と会う事は出来ないんだろうなと思ったら、なんとなくプチ失恋みたいな気分になってコーヒーがやけに苦く感じた。













「エレン、さっきからぼ〜としてるよ?」

「あ…?そ、そうか?」

「うん…もしかして、あのカフェの女の人の事考えてる?」

「!?そ、そんな訳ねぇだろ!何言ってんだよアルミン!」

「…………(分かりやすなぁ…)」


サシャとコニーと合流して特に行く当てもなく皆と歩きながら、僕は隣りのエレンに声をかけた。
なんだか上の空で僕の話しもあまり耳に入ってなさそうなエレンは、今の反応を見てもさっきのカフェの女の人の事を考えてたのは間違いない。


(顔真っ赤にしちゃって…これはもう確実に…恋だね)


親友の春に微笑ましくなった僕は、どうにか応援出来ないかと考えた。
他の皆は僕達より少し前の方を歩きながら盛り上がってる、今なら誰にも気付かれない筈だ。


「エレン、あの女の人がまだいるかは分からないけど…今からもう一度あのカフェに行ってみなよ」

「は?な、何でだよ!俺は…別に…!」

「気になってるんだろ?あの人の事。なら行くべきだ」

「………………」

「これを逃したらもう二度と会えないかもしれない…そうだろ?エレン」

「………そう…だな、確かにお前の言う通りだ…ありがとなアルミン!」


エレンは決心したのか僕に力強く頷くと、来た道を走って戻って行った。
エレンの背中が見えなくなった頃、前を歩いていたミカサやサシャ達がこっちの様子に気付いた。


「アルミン、エレンはどこ?」

「なんかさっきのカフェに忘れ物したらしくて、急いで取りに行ったよミカサ」

「そうなんですか〜じゃあ先に行っていましょうか、エレンにはケータイで連絡すればいいですし!」

「そうだな、そうしようぜ!」


サシャとコニーがまた歩き出し、僕とミカサも二人に着いて行く。
あの女の人がまだカフェに居てくれるといいな…。


(頑張れ、エレン!)


エレンが走って行った方を少し振り返りながら、僕はそう強く思った。










(はぁ…小説の内容なんて全然頭に入ってこないよ…)
(あ、あの!!)
(え?エ、エレン君!何でここに!?)
(突然すみません!でも…これだけは言わせてください!あ、あなたに近付く野郎は…一人残らず俺が駆逐します!だから…俺と付き合ってください!!///)
(…っ予想外のハッピーエンド!?///)

2016.3.7

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