進撃の巨人
□可愛いカップル
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「あの二人ってなんか可愛いよね〜」
「あの二人って誰ですか?ハンジさん」
「ほらほら、あそこでイチャイチャしてるお二人さんだよ♪」
「「?」」
ハンジさんがニヤニヤしながら指差す方を、俺とアルミンは見る。
そこにはリヴァイ兵長と、リヴァイ兵長の恋人のナマエさんがいて…二人で何か話していた。
目ざとく俺達が見ている事に気付いたリヴァイ兵長がこっちを睨み付けてきて、俺は思わず苦笑しちまった。
するとハンジさんが二人の方をじっと見ながら何かに集中しているように微動だにしなくなったから、俺は首を傾げた。
少しすると、二人の方をじっと見たままハンジさんが口を開いた。
「…チッ、あいつら何こっちをジロジロ見てやがる
きっとリヴァイ兵長はかっこいいなぁって話してるんですよ、だからそんなに睨んだらかわいそうですよ
…お前の事を話してやがるかもしれねぇじゃねぇか
私の事?
ああ…あいつら、お前の事を変な目で見やがったら…ただじゃおかねぇ
リヴァイ兵長……
…とまぁこんな会話をしちゃうぐらいあの二人はラブラブなんだよ〜♪」
「え!?今のリヴァイ兵長とナマエさんの会話を盗み聞きしたんですか!?それとも読唇術ですか!?;」
「どっちにしても凄いですよハンジさん!;」
二人と俺達との距離はかなりあって話し声なんて俺には全く聞き取れない。
ハンジさんが地獄耳なのか読唇術が出来るのか分からねぇが、どっちにしろすげぇから俺とアルミンは目を丸くした。
巨人の事といい…この人はどこまでも俺達を驚かせる。
「あ、リヴァイが私達からナマエを隠すみたいに立ち位置変えた」
「男ですね、リヴァイ兵長…」
今まで見えていたナマエさんがリヴァイ兵長の背中で全く俺達から見えなくなった。
こうして見るとナマエさんってかなり小柄だよな…あのリヴァイ兵長の身体に隠れちまうくらいなんだから。
……いや、別にリヴァイ兵長が小さいとか…言ってるわけじゃねぇけど(汗)
「エレン…考えてる事が顔に出てるよ」
「……そうか。お前も同じ事考えてるんじゃねぇのか?アルミン」
「ま、まぁね……」
アルミンとお互いに苦笑する。
そんな俺達にハンジさんが腹を抱えて大笑いした。
「そうそう聞いてよ〜この前なんかナマエが転びそうになってリヴァイが抱き止めてたんだけど、身長差で丁度ナマエの顔がリヴァイの胸辺りにあってさ〜もう理想的な絵面だったんだよ!リヴァイの身長が平均に見えたぐらい♪」
「た、確かに…そのくらいの身長差が見映え的にいいかもしれませんね」
平均の辺りでちょっと吹きそうになったがなんとかこらえた。
自分の胸辺りにナマエさんの顔か…見上げてくるナマエさん、可愛いだろうな。
リヴァイ兵長が少し羨ましい。
「リヴァイもリヴァイで見上げてくるナマエをそれはもう熱く見つめちゃってさぁ、思わず『お〜いここは兵舎ですよ〜イチャイチャも自制してくださ〜い』て言いたくなっちゃったよ〜♪」
始終楽しそうに話してくれるハンジさんだったが、俺とアルミンは気付いちまった。
ハンジさんの後ろから、恐ろしいオーラを放ったリヴァイ兵長が近付いてきた事を……。
「あ…あの…ハンジさん……」
「それとね〜これ知ってる?人気のない所に行くとリヴァイってばナマエと手をつなぐの!あのリヴァイがだよ!?ツンデレのデレの部分を垣間見たね!それで手をつなぎながら二人並んで歩いてる所とか本当に可愛いんだよ!その時私エルヴィンと一緒にいたんだけど、エルヴィンと二人して物陰から微笑ましく見守ったものだよ〜♪あの二人は絵に書いたような健全なお付き合いをしているとみた!!!」
「ハンジさ……っ」
「あとはね〜…痛だだだだだ!!?」
「よっぽど俺に殺されてぇらしいな…クソメガネ」
ああ…遅かった。
容赦無くハンジさんの頭を鷲掴みしたリヴァイ兵長はあらん限りの力でその頭を手で締め付ける。
この人は人類最強…体格に似合わず力も強ぇんだ。
俺とアルミンが恐怖に何も出来ないでいると、ナマエさんが慌てて駆け寄ってきた。
「リヴァイ兵長!駄目ですよそんな乱暴したら!;」
「…フン、おいクソメガネ、こいつに感謝するんだな。行くぞナマエ」
「は、はい」
ナマエさんの腕を掴んで、ズンズン歩いて行くリヴァイ兵長を見送る俺とアルミン。
確かにハンジさんの言う通り、一緒にいる所を見ると何故か和んでしまうような空気があの二人にはある…“可愛い”と思ってしまうのも頷けた、あれはただ単に背丈だけじゃあんな雰囲気は出ない。
きっとナマエさんといる時のリヴァイ兵長の雰囲気が、他の人といる時には無い微かな穏やかさを帯びているからかもしれない。
そんなリヴァイ兵長に素直に甘えているナマエさんと、ナマエさんを大切に守っているリヴァイ兵長…二人であの独特の“可愛い”雰囲気になっているんだ。
これが……恋なのか。
「…アルミン、俺達もいつか…リヴァイ兵長とナマエさんみたいにいい恋をしような!」
「う、うん!そうだね!」
アルミンの肩に手を置くと、アルミンも力強く頷いてくれた。
(そうだ…俺も、いつかは…!)
リヴァイ兵長とナマエさんの背中を見送りながら、俺は拳を強く握り締めた。
「お〜いエレン、熱く締めくくってる所悪いんだけど…少しは私の心配もしておくれよ〜」
「え?うわ!す、すいませんハンジさん!忘れてました!;」
「僕もすみません!大丈夫ですか!?;」
(可愛いカップル)
2016.2.27