HelloWould!!!!
□第6話 夕飯と寂しさ
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部屋に戻ってしまった星川。俺は正しい事をしたまでだ。千鶴の事もあるしこれ以上隊が乱れる芽を早めに抜いておきたい。
「あーあ。土方さんがあんな事いうから神流ちゃん戻っちゃったじゃないですか。」
「部屋にこもってろと言ったんだ当然の事だろ。」
「それなら僕、もうご飯食べ終わったから神流ちゃんの所にでも行ってこようかな。」
「っ⁉いや、俺が行く。」
頭で考えるより先に口が動いていた。総司があいつと2人きりになると聞いて無性にイライラした。自分の感情にまさかな…と疑問を浮かべながら俺は星川の部屋に自分の晩飯を持って向かった。
部屋の前に着き何も言わず無言で入る。そこには今にも消えてしまいそうな表情をした星川が残りかけの飯を口に運んでいた。いきなり現れた俺に驚きもしないのはこいつが俺の気配を察していたんだろう。
「声も掛けずに入ってくるなんて随分と失礼な事するんですね、副長様は。」
「………。」
星川の言ってる事は間違っていなかった。おれはいい返そうが言い返せない。こいつを最初に見たときただ綺麗だと思った。月明かりに照らされて光る相互異なる瞳の輝きに魅せられた。それと同時にその瞳の中にある寂しさも感じた。これといって会話もせず淡々と自分の飯を食べながら星川を盗み見ると部屋に入ってきた時の消えそうな表情はなくなっていた。俺が来たことで嬉しそうな顔をするこいつにどこからか満足感を得た。それと同時にこいつに消えそうな顔をさせてしまったのが申し訳なくて柄でもなく謝罪の言葉を口ばし妻ていた。
「さっきは…悪かった。」
「え?なんか言いましたか?」
「だからその…」
「なんですか?はっきりいって下さい。」
「さっきは悪かったって言ったんだよ‼」
「っ⁉」
問い詰めてくる星川に痺れを切らしいつもの癖で怒鳴っちまった。この世の終わりだとでも言う顔をしている星川やべえ。怒鳴りすぎて動揺しちまったか?
「土方さん、あの、出張先で悪いものでも食べたべたんですか?大丈夫?あ、それとも頭打ったとか?」
こいつ…心配して損した。
「てめぇ‼俺をなんだと思ってやがる…」
「俺様、王様、将軍様、土方様でしょ?」
さも当たり前かのように言いやがった。いつもなら怒鳴り散らしているがこんな気も起こらなかった。その代わりに出たものは溜息。
「お前なぁ…はぁー。」
「ありがとうございます。」
「あ?」
「ありがとうございます。さっきよりは人数減っちゃったけど1人はやっぱり寂しいなって思ってましたから。土方さんっと一緒にご飯食べられて、嬉しいです。」
そう言って微笑んだ星川に思考が停止する。不意打ちだ。反則だ。今俺の顔は鬼の副長の画面が剥がれているだろう。
「?あのあたしの顔になにか付いてます?」
星川の声で我に帰った。たく。鬼の副長が聞いて呆れるぜ。
「っ⁉いや、何もついてねーよ‼」
「土方さん今日ちょっとおかしいですよ?やっぱり土方さんなんか変なもの食べたんじゃ…」
「てめぇ。まだ言うか‼」
「言いますよ。いくらでも。」
おかしいのは変なもの食ったんじゃなくてお前の所為だよ。お前の前だとどうも鬼の仮面が取れちまう。まったく調子狂うぜ。