HelloWould!!!!

□第1話 ここはどこですか
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「なんだったの?!」

目を開けるとそこにはさっきいた自然あふれる洞窟とは違いあたしの出身地を思い起こさせる和風の建物が延々と立ち並ぶ住宅街だった。

「ここは?和の国?いや、どことなく雰囲気が違う将軍様の城がない。とりあえず誰かに聞くしかないか。」

自分の頭では理解不可能だったしかし洞窟の文字には異世界と記されていた。将軍様の城がないということはここはあたしの知っている和の国ではない。人に聞こうにも日が昇っていないので人にすら出会っていない。しかし、運がいいのか悪いのかガラの悪そうな男達に囲まれた。

「おい、そこのお前!!腰にいいもんぶら下げてんじゃねーか!その刀俺たちに渡せよ!そしたら命だけは見逃してやってもいいぜ?」

「ふん。あんたらみたいな雑魚に扱えるしろものじゃないよ。」

「なんだと!?よっぽど死にてぇみてーだな!!お望み通り殺してやるよ!!」

男たちは刀を抜きあたしに向かって振り回してきた。挑発したのはあたしだが、相手との力の差も理解できないほどの雑魚だった。あたしは無造作に自分に向かってくる刃をふらりふらりとかわしながら男に向かい覇気を放った。すると男たちは泡を吹いて倒れた。

「あちゃーやりすぎちゃったよ。話聞きたかったのに気絶しちゃったし。」

とりあえずこのまま大通りに転がしておくわけにはいかない。しかたなく路地裏に男たちを移動させようとしたときだった。いきなり背後に気配を感じ振り向いた。そこには赤い瞳に白髪頭、浅葱色の羽織を着た男が2人月明かりに照らされ立っていた。

「あっ!!第2町人発見!!おいあんたらちょっと聞きたいことがあんだけどっ!?ってあぶねぇ!!いきなり何しやがる!?」

「ひゃはははははは!!血っ!!血をよこせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

話しを聞こうとしたらいきなり刀を振り回してきた。普通ではない男たちに驚き慌てて距離をとる。

「あーも!!どいつもこいつも!!なんなんだ此処の連中は!!仕方ないな!!」

さっきの男たち同様覇気を向ける。男たちは倒れるがむくりと立ち上がる。普通の人間では絶対にありえないことだ。

「血!血!血!血!をよこせ!!」

「ちっ!!うぐっ!!」

男の攻撃が腹部を貫く。普通の人間なら血が滲むはずなのにそこには透明な水がポタポタと垂れていた。

「随分と酷いことしてくれるじゃないの。」

顔を上げた神流の瞳は左右異なる色が輝いていた。神流は男の腰に残っているもう一本の刀を奪い心臓を一突きにした。2人目が襲い掛かってきたため同じように心臓を貫いた。

「おー痛い痛い!なんつって。」

そういいながら神流は体に刺さったままの刀を腹部から引き抜く。その際にも体からピチャピチャと水が落ちる。

「さっきからずっと物陰から見てる人たち危ない状況だったのに助けてくれてもよかったんじゃない?」

「あれ?気が付いてたんだ。」

「気づくもなにもそんなに殺気向けられたらいやでもわかるよ。(しかもこの白髪頭の化け物と戦ってる最中に来たのに助けもしないで。)」

家の陰からぞろぞろと白髪頭の男たちと同じ羽織を着た男たちが出てきた。

「僕一人で始末するつもりだったのに。」

栗色の髪に翡翠色の瞳の長身で整った顔立ちをした青年。発言からも殺気からも彼が戦闘狂だということが分かった。

「これ、君がやったんだよね。それに僕刀が君のお腹に刺さったのを見たんだけどなんで平然と立っていられるのかな?」

「あまり無駄な殺生はしたくないんだけど。自分の命が一番だしね。」

「ねぇ。肝心の質問に答えてないんだけど。君面白いね。さっき見た感じ強いみたいだけど僕に殺されてみない?」

「ううこわっ!!お兄さん綺麗な顔してるのにそんな事ばっか言ってると友達いなくなるよ。」

「君に心配されるほど友達少なくないし。人のこと考えてる場合じゃないんじゃない?」

「待て、総司」

抜刀し、今にも斬りかかろうとしている栗色の髪の青年に紫がかった黒髪を右肩口に結んだ藍色の瞳の整った顔立ちをしている青年が止める。

「なんで止めるの一君。この子見ちゃったんだよ?」

子供のように口を尖らせる彼は納得がいかないというように一瞥した。

「確かに...だが、その判断は俺たちが下すべきではない。」

そういって、こちらに視線を向けてきた。

神流にではなく背後に...

神流は殺気を感じて突き付けられた刀の切っ先を振りあ払う。

キンッ

金属音が辺りに響き、現れた新手を見た。

「運のない奴だ...」

チャキッと音がして刀の切っ先を再び突き付けられる。

「いいか、動くなよ。背を向ければ斬る。」

抜き身の刀をこちらに突き付けていたのは、月光を背後にしてゾッとするくらいに端正な顔立ちをした長い黒髪の男だった。

眉間に皺をよせ、針が全身に刺さるような殺気を放っているが、その目にはどこか困っているような戸惑っているような複雑な感情を宿している。

「...おい、その腰にぶら下げている物を捨てろ」

「...」

「理解できなかったか?刀を捨てろって言ってるんだが」

声音に苛立ちが混じる。

神流は小さく口角を上げた。

「何がおかしい。」

気に食わないのだろう。眼差しに怒りが宿る。綺麗な顔立ちをしているだけに気を弱いものなら即逃げ出しそうだ。

「...刀を捨てるのはそっちなんじゃない?」

「なんだと?」

瞬間、神流はミズミズの実の能力を使い人には見えない小さい水の粒子になって消える。そして男の背後に自分を再生させて彼の首に自分の刀を突き付けた。

「「「「「「「!?」」」」」」」

「形勢逆転」

その場に居た者たちには何が起こったのか理解ができなかっただろうミズミズの実の能力を使ったことで神流の月明かりに照らされたオッドアイが怪しく輝く。

「てめぇ...」

「おっと、動かないで。そこのお兄さん方もだよ。下手な事しようとしたらこの人のこと殺しちゃうかも」

「...君さ、僕たちに人質が通用すると思う?それえにさっき無駄な殺生はしたくないって言ってたじゃない?」

「それとこれでは話が別だよ。自分の命が一番だし。で、見たところこの人君たちの上司っぽいけど、ころされてもいいの?」

「てめぇ...いったい何者だ?」

「答えてあげてもいいけどー!」

言い終わらないうちに空気を切る音が耳に入った。そしてそれが神流の顔に突き刺さると誰もが想像したがそうにはならず飛んできた物は頭を貫通し地面に突き刺さる。血が出るはずの場所からは水がポタポタと滴り落ちている。

「「「な?!」」」

飛んできたのはクナイだった。

「全く。危ないな。普通の人間だったらしんでるよ?」

チラリと視線を左上に向け覇気で威嚇した。情人ならわからないだろうが、屋根の上には忍装束を身に纏った男が一人。彼は神流の覇気に充てられ気を失って屋根から落下した。

「山崎っ!?」

目の前の男は落ちてきたそれを助けようとする。威嚇のつもりで放った覇気で気絶してしまったようだ。

「忠告するよ。君達はあたしに勝てない。そこにのさばってる忍者君と同じになりたくなかったらあたしの質問に答えてくれる?」

「...っち!!」

淡々と感情の籠らない口調で声音を低くし、脅しの言葉をかけると目の前の男は忌々し気に舌打ちする。

「ここは偉大なる航路(グランドライン)のなんていう島?」

「ぐらんどらいん?島?何言ってんだお前?」

「じゃあここはなんていう国なの?」

「日本だ。変な格好してやがるがてめぇ異国人か?」

「質問してんのはこっちだよ。」

首筋にさらに刀を近づける。

「まあいいや。知りたいことはわかったし。じゃあこれで君達とはさよなら。」

そういって体を小さな水の粒子に変えてその場を立ち去る。おい!!待ちやがれ!!と怒号が聞こえてきたが粒子になった神流の姿を見ることは絶対になかった。
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