HelloWould!!!!
□第11話 警護と過去
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慶応元年閨五月ーーーーーーーーー
山南さんは薬の実験に成功したようだ。昼間は活動しにくいらしいが気にしていた左腕の怪我は完治したらしい。しかし、後々土方さんから聞いたが山南さんは死んだことにするらしい。どうせ薬の存在を伊藤さんに知られないようにするためだろう。どうもやりきれない気持ちでいっぱいだった。騒動があってしばらくすると屯所は無理矢理西本願寺に移り、江戸に使いに出ていた平助も帰ってきた。平助は江戸から帰ってきてなんだか様子が違う。迷っているというかそんな感じがした。何かあるなら話してくれれば良いのにと思うが本人から無理に聞き出しても解決にはつながらないの放って置くしかない。
部屋でぼうっとしていると千鶴が巡察から帰ってきた。
「千鶴、巡察お疲れ。」
「神流姉さん、今日巡察していたら女の方が路地で浪士に絡まれて困っていたのを沖田さんが助けたんですけど、その女の方が私にすごく似てたみたいなんですよ。平助くんと沖田さん曰く女装したら全く同じ顔だっていってて。案外世間って狭いんですね。」
「へぇ〜。千鶴に似てる人か会ってみたいな〜。名前はなんていうのその人?」
「南雲薫さんっていう人なんだけどね、すごく大人っぽくて私には似てないと思うんだけど。」
「千鶴が2人か〜‼合ってみたいな‼」
「そうだ‼神流姉さんも今度一緒に巡察に行きましょうよ‼」
「行きたいけど…あの鬼畜鬼副長が仕事を山のようにやらせるから。今日も疲れた。」
言いながら私は畳に突っ伏した。
「…お疲れ様です。お茶でも淹れてきましょうか?」
「……千鶴。あたしに優しいのは千鶴だけだよ。ありがとう。でも大丈夫だよ、今ちょっと休憩してたから。それにもう直ぐこの部屋に総司かな?くると思うんだけど…」
その時部屋の外から声がかかる。
「神流ちゃんに千鶴ちゃん今から大広間で集会やるから早く来てね。」
扉も開けずに伝言だけ残すと姿も見せずにさっさと行ってしまった。
「ほらね‼」
「神流姉さん、いつも誰かの気配に敏感ですよね。すごいです‼」
「全然だよ。むしろこの癖は無くしたいな…」
「癖、なんですか?」
「あ?あ、いや、んーなんだろね?あはは‼そういえば早く大広間に行かないと‼行こ、千鶴‼」
「あ、はい‼」
あたし達は部屋を後にし、広間に向かった。