HelloWould!!!!
□第10話 新撰組
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幹部会議。あたしも一応副長補佐という立場なので副長様の隣に座り参加しております。凄く苦痛…伊東さんがガン見してくるから。目が合うたびにニコリと笑顔を向けられる。なぜだろう。吐き気がする。なぜだろう。
「また、隊士が増える予定だ。やはり早急に新しい屯所を探した方が良いだろう。」
「雑魚寝してる連中もかなり辛そうだしな。」
「だけど僕達新選組を受け入れてくれる場所なんて、どこか心当たりでもあるんですか?」
「ん?あれば苦労せんのだが…」
「西本願寺。」
「西本願寺は、長州を始めとする不逞浪士の隠れ蓑。我々を素直に受け入れるとは考えられませんが?」
「そんな事はどうだって良い。寺と坊さんをダシにして今まで好き勝手してきたのは長州だろう。いざとなれば力ずくでも承諾させる。」
「僧侶の動きを武力で押さえつけるなど見苦しいと思いませんか?」
「まぁ、確かにそうだな。山南さんの言う通りかもな。」
「トシの意見はもっともだが、山南君の考えも一理あるな。」
「西本願寺、よろしいんじゃないですか?私も色々調べましたが屯所としての立地も条件もいい土方君のおっしゃる通り我々が寺を拠点とすることで長州封じにもなりますしね。」
「確かに長州は身を隠す場所を1つ失うことになる。」
「まぁ、坊主共は嫌がるだろうが。西本願寺からならいざという時には動きやすいな。」
「そりゃあ、そうだが…」
「うーん。」
「しかし、正義を変えた大義などいずれ綻びがでます‼」
「山南さんは、相変わらず大変に考えの深い方ですわね。しかし、物事を推し進めるには強引かつ大胆な策も必要ですわ。守りに入ろうとするお気持ちはわかりますけど。」
「守り?」
「その左腕は使い物にならないそうですが?」
「っ‼」
「でも、剣客としては生きられずともお気になさることはありませんわ。山南さんはその才覚と深慮で新選組を十分に助けてくれそうですもの。」
その言葉はお前はもう必要ないと言っているのと同じだ。一言言ってやろうとしたら土方さんが先に吠えた。
「今のはどういう意味だ伊東さん‼あんたの言うように山南さんは優秀な論客だ‼けどな、剣客としてもこの新選組に必要な人なんだよ‼」
「土方君、私の腕は…」
山南さんは左腕を抑えて俯いている。
「あら、私としたことが失礼いたしました。その腕が治るのであれば何よりですわ。」
「ちっ‼」
「(こいつ…)」
「色々意見が出たがここはひとつ西本願寺で進めてみよう。」
結論が出たとたん、すぐさま山南さんは立ち上がり部屋を出て行ってしまった。それに伴うように幹部会議もお開きとなった。