HelloWould!!!!
□第6話 夕飯と寂しさ
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「「「「いただきます‼」」」」
大きな掛け声とともにみなそれぞれご飯を食べ始める。そしてもう恒例行事のように神流と千鶴の隣では天下分け目のおかず原の戦いが繰り広げられている。
「しんぱっつぁんそれいただき‼」
「うわっ‼そいつは最後にとっておこうと思ったのに‼畜生‼それならっ‼」
「何すんだよ‼」
「何すんだじゃねぇ‼人のもの食いやがって‼」
「何言ってんだよ‼いつも俺のおかず食ってんのはそっちだろ‼」
「オメェはちっこい男だな平助‼んな昔の話持ち出して‼」
「"昔"じゃねぇ‼"今朝"だろうが"今朝"‼俺のメザシ3本も食っただろうが‼ったくよ‼」
「やめなさい2人とも‼行儀が悪い
‼星川君と雪村君が…呆れているだろう…」
「「えー?」」
2人揃ってあたし達をみる。
「「あははは…(井上さんよりによってそこであたし達にふるんですか/ふんのかよ…)」」
から笑いしかできないあたし達。毎回隣で戦いをしているがいい加減にしてほしい。正直うるさい。賑やかなのいいことなのだが。
その時部屋の襖が開き、出張に出ていた2人が帰ってきた。
「今、戻った。」
「おお、トシ‼」
「土方さん。」
「「「っ!」」」
土方さんの後ろには山南さんがいてみなその痛々しい姿をみると動揺を隠せなかったようだ。山南さんの左腕は首にから吊るされた布の中に収まっていた。 土方さんは近藤さんのすぐ横にぶら下げていた刀を取り腰を掛ける。
「総長、副長、お疲れ様でした。」
「おう。」
「おかえり。山南さん。」
「ただいま戻りました。」
「ご苦労だった。腕の傷はどうだ?」
「ご覧の通りです。不覚を取りました。」
そういうと山南さんは皆を見て笑う。
「見た目ほど大袈裟な怪我ではありませんので、ご心配なく。では。」
「山南さん‼晩飯は?」
「けっこう。少し疲れたので部屋で休ませて貰います。」
そう言うとそそくさと部屋のドアを閉めて自分の部屋に戻ってしまった。
「土方さん。山南さんの怪我本当のところどうなんですか?」
「なんとも言えん。ん?お前、此処でなにしてる?」
土方さんはあたしの存在に気づくと眉間に皺を寄せ睨みつけてくる。
「誰が部屋を出て此処で食事をしていいと許可を出した?」
「あんなところにずーっと軟禁されて監視まで付いてたら頭おかしくなっちゃいますよ。なので自分から勝手部屋を出て勝手此処で皆さんと一緒にご飯食べてました。」
「いや、飯には俺がだな…」
「俺が誘ったんだ」
「いや、俺が言ったんだ。」
「いえ、私が神流姉さんを…」
「俺が言ったんだよ」
「っ⁉お前達勝手なことを…」
「いいじゃん飯くらい神流は逃げないって約束して俺らより断然強いのに実際この1週間逃げようとしなかったんだから。」
「たかが1週間だ。」
「そんなに心配土方さんが監視したら?つきっきりでさ。」
「うわ‼総司本気で言ってんの?やだよ土方さんに四六時中監視されてたら頭おかしくなる。想像しただけでも背中に虫酸が走る‼不気味なこと言わないで‼」
「てめぇ‼」
「あははは‼神流面白い‼本人が目の前に居るのに。」
「総司も、笑ってんじゃねーよ‼」
あるがままに思ったことを口にすれば総司は腹を抱えて笑い出す。仕返しだこの野郎‼ざまーみろ‼
「トシ。どうだ?食事くらいは此処でとるのを許可してやっちゃあ?」
「近藤さん…あんたがそんなに甘くっちゃあ隊の統率が乱れるぜ。」
「う、うん…あぁ。」
近藤さんは手を後頭部にやり言葉に困りはてている。これ以上自分の所為で近藤さんが土方さんに責められている姿は見たくない。
「近藤さんはなにも悪くないですよ‼土方さんは頭ガチガチで周りの意見聞き入れることできないから。邪魔者の私はお望み通り自分の部屋に戻って食べますよ‼お騒がせしてどうもすみませんでした‼」
あたしはお盆を持ち立ち上がり足早に部屋を出た。
「星川君⁉」
「神流‼ちょっと待てよ‼」
「神流姉さん‼」
背後から聞こえる声を無視して自分の部屋に戻った。