HelloWould!!!!

□第2話 その場凌ぎが何とやら
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あの騒動から約一週間が経過しようとしていた。

やはりあたしの考察は当たっていたようだ。ここは異世界。偉大なる航路(グランドライン)など存在せず小さな島が沢山あるわけではない。この世界は大きな大陸がいくつかあるようだ。ここは日本という島国らしい。見る限りでは文明はあまり発達していないようだ。悪魔の実も存在しない。もちろん能力者も。

あの後最初にしたことと言うと服装が異なるとどうも目立ってしまうため浪人と呼ばれるチンピラたちから喧嘩をふっかけられたので着流しを剥ぎ取った。

元々和の国では着物を身につけていたので身につけるのに困ることはなかった。

だがこの国の通貨を持っていなかったので食べ物に苦労した。しかしいまでは働き口も見つかり金には困っていない。しかし寝るところなどさすがに見つかるはずもなく。ボロボロの小屋で絶賛野宿中だ。

この世界にきて出くわした浅黄色の羽織を着た連中は新撰組と言うらしくこの国を治めている江戸幕府とやらから命を受けて京の治安を守る人斬り集団らしい。

すると突然キャーと言う女の悲鳴と男の怒号が聞こえてきた。

目を向けると団子屋で浪人が女に難癖をつけ連れ去ろうとしているところだった。

「俺はこれからこの国の英雄になるんだ。そんな俺様に奉公しやがれ‼」

「いや‼だれか助けて‼」

女は嫌がり助けを求めているが周りの取り巻きは手を差し伸べない。

「(しょうがないなぁ…)おいそこのあんた。その手を離せ。嫌がってるじゃん」

「あぁ?なんだてめぇ?殺されてーのか⁉」

ブチッ

私のなかで堪忍袋の緒が切れた。男の手をとると思い切り背負い投げをかましてやった。男はいてぇ‼と情けない声をあげおとなしくなった。

「ありがとうございます。」

女は私に礼を言うとその場からすぐ立ち去ってしまった。あんた凄いな。よくやった。すっきりしたよ。あたりから歓喜の声と拍手が起こる。いえいえ大したことないですよ。なんて言っていると今出くわしたくない浅黄色の羽織を着た新撰組に出会ってしまった。この前いた人達とは違かった。それに男装はしているが明らかに女とわかる少女がいた。

「おいおいなんかあったのか?」

赤色の髪と瞳をした綺麗な顔立ちの男が割って入ってきた。

「この兄ちゃんが女に嫌がらせしてた浪人を懲らしめてくれたんだよ」

町の1人が言うとそこにいた全ての1人の視線が神流に集まった。

「へぇー。」

赤色の瞳の男は何かを探るような目で私を見てきた。この目は何かに感づいている目だ。

「いえいえ、大したことしてないですよ。ただこの男が気に食わなかっただけです。それではあたしはこれで。」

そう言い立ち去る筈だった。だが赤色の瞳の男に腕を掴まれ静止させられる。

「いやいや最近とてつもなく強い男が現れたって巷で噂になっててな。どうもそいつお前みたいな長髪だったらしいんだが。」

そう言って私を見る眼差しは明らかに疑ったような眼差しだった。

「そ、そうなんですか。そんな強い人がいたなんてあたしも憧れるなー。長髪なんてそこら辺に沢山いるじゃないですか〜。それよりあたし今から仕事なんですよ。急がないとー。」

棒読みで返し無理やり手を払いそのまま全力疾走する。

「あっ‼ちょっ‼待ちやがれ‼」

誰が待つかくそったれ‼と心の中で叫びながら全力で走っているとジャラジャラという鉄の音と共に片足に何か巻きついた。引っ張られそれでも前進しようとした体は地面に強打。盛大にこけた。

「痛ってぇ‼っ‼」

突然の出来事だったが起き上がろうと体に力を入れようとしたがグラリと地面に吸い付く。まさかと思ったときにはときすでに遅し。痛みと共に前の世界で海軍にお世話になったとき感じた体のだるさ。自然系(ロギア)には効かないはずの物理攻撃が効いている。思考回路の末端に出た結果は海楼石。それしか思いつかなかった。

「でかした‼山崎‼そのままそいつ押さえてろ‼」

「あぁ!」

鎖を投げつけてきた山崎と呼ばれた黒服をまとったやつが動けない私をいいことに押さえつけてくる。さっき話しかけられた赤髪の顔の整ったお兄さんに追いつかれてしまった。そして片足だけだった鎖はいつの間にか前進に巻かれてすっかり身動きが取れなくなってしまった。

「離せーー‼なんで私がこんなめに会わなきゃならねーんだよ‼」

体のだるさに耐えながら離せと訴えるが案の定解放されることはなかった。そして赤髪の男に肩に担がれる始末。

「うちの上司がお前に用があるみてーでよ悪いが屯所まで来てもらう。」

「あぁ⁉屯所⁉つか来てもらうじゃなくて攫うの間違いだろ‼離せぇぇ‼」

「わーわーうるせーなー。ちょっと黙ってろ。」

「誰が黙るかこの野郎‼うっ‼」

腹に鈍い痛みを感じたと同時に目の意識がなくなった。
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