短編

□終焉の使者は壮麗に、
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※名前変換無し












その日、突如として私の世界は一変した。




いつも通りに始まったはずの一日だった。

最初の異変は、ぐにゃりと歪んだ視界。

初めは眩暈だろうかと思ったけれど、その考えは長く続くそれと周囲の人々の反応から否定された。

徐々に異常を感じ始めた彼等はいつしか我先にと外へ向かって走り出していた。

そして校舎から出た私達の目の前に現れたのは、空を覆うほどの巨大なドラゴンだった。

人類の、そして世界の破滅を宣告し、破壊を始めるその姿に周りの同級生達が怯えるのは当然の反応だろう。

それはあまりにも人々の理解を超えていた。

けれど。

『か…………かっこいい……』

その中にあって、私は心がときめくのを感じていた。




幼い頃から、何者にも負けない強さに憧れていた。

だからこそ私はアカデミアへの入学を切望し、それが叶ってからも頂へ駆け上がろうと必死だった。

その中で様々なデュエリスト、様々なモンスターの戦いを見ていくうちに、私はある存在に惹かれていくことになる。

圧倒的な力でフィールドの全てを捩じ伏せる、ドラゴンというものにーー。

いわばドラゴンというものは力の象徴なのだ。

その強さ、その輝き、その存在を構成する要素の全てが私を魅了して離さない。

アカデミアに伝わる青眼の白龍。

レプリカしか見たことは無いが、初めてあの洗練された美しい姿を見た時の感動は今も忘れられずに心に焼き付いている。

アカデミア最強のデュエリストと名高いユーリ様の操るスターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン。

禍々しさと凶悪さの中にある美しさは私の心を酷く高揚させる。

侵攻初期にエクシーズ次元へ行った時に見たドラゴンもそれはそれは素晴らしい造形美をしていた。

アカデミアの味方が次々倒されていくのを尻目に、物陰から敵であるドラゴン使いを応援していたのは秘密だ。

まだ行ったことは無いがシンクロやスタンダードにもきっと素晴らしいドラゴンが居ることだろう。

新たな出会いを夢見て、それらの次元へ渡る機会を窺っているところだった。




憧れたカードを使うに相応しいデュエリストになるために、私はずっと努力してきた。

つい最近になってようやく支給品ではない自分の自由に作ったデッキを持てるようになったのだ。

これからこの新たな相棒と共に駆け抜けていく世界は、これまでよりもずっと素敵なものになるだろう。

このところの私の胸は煌めく希望に満ち溢れていた。

そんな中で現れたあの未知のドラゴンは、今まで見てきたものとはまた違った、新たな衝撃をもたらした。

世界そのものをも変えてしまうような、その力。

圧倒的な強さが好き。

それを持つドラゴンという存在が好き。

なればこそ、つい感嘆の声が出てしまったのも仕方のないことだろう。


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