清掃員シリーズ
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※デュエル回
※筆者はOCG未プレイのためプレイングミスなどしている可能性有り
※ルールは9期(ARC-V期)準拠
※ユーリの使用カードはアニメ準拠(未OCG化カードも含む)、夢主の使用カードはオリジナルカード
※カードテキストなどオリジナルカードの詳細は「注意事項・設定」参照
「そういえばボク、澪織がデュエルしてるとこ見たことないなぁ」
だからボクとデュエルしない?とこちらに話を向けたデニス君に、思わず苦い表情を返してしまった。
デュエル。
私にとってあまり良い思い出の無いそれは、できることならば避けて通りたいものなのだけれど。
「無駄だよ、澪織さんそう簡単にはデュエル受けてくれないから。っていうよりデニスとデュエルするくらいなら僕としてほしいんだけど」
ユーリ君まで話に食い付いてきて、ますます嫌な予感が加速する。
アカデミアの生徒達はどうしてこうデュエルが好きなのだろう。
……デュエル学校だからか。
そんなあまりに当たり前の答えを自問自答して嘆息する。
そういえば、弟もデュエルが好きだった。
どうして世の中にはこうもデュエル好きが多いのか。
私も、もう少し何かが違っていたら彼等のようにデュエルを好きになれていたのだろうか。
次々にそんな適当な疑問を思い浮かべるのは、期待に満ちた眼差しを送ってくる二人の少年から視線と共に意識を逸らして現実逃避するためである。
「じゃあこうしよう!この三枚をそれぞれ引いて、ジョーカーを引き当てた人が澪織とデュエルできる!」
デニス君がどこからともなくトランプの束を取り出して、そこから慣れた手付きでカードを選び出した。
ハートのクイーン、クラブのキング、そしてジョーカーの三枚を掲げて見せた後、机に伏せてシャッフルしていく。
イカサマはしないでよねと釘を刺すユーリ君とそれに対しておどけて笑ってみせるデニス君に、私は慌てて声を上げた。
『ちょ、ちょっと待って!私にメリットが無いじゃない…!!そもそも私、デュエルするなんて言ってないし……』
こんな話を勝手に進められてはたまったものではない。
「大丈夫、澪織がジョーカーを引けばデュエルは成立しないよ」
『それが無理難題だって言ってるのよ!!』
「そうかな?確率は三分の一だし、そんなに低くないと思うよ」
「あははっ、澪織さんの引きは絶望的だから」
私の駄目さ加減を全く分かっていないらしいデニス君の説得も難しそうだが、分かっていながら面白がっているユーリ君もまた厄介だ。
『貴方はそれを知っててどうして私なんかとデュエルしたがるの……』
「んー、相手が弱いなら弱いで瞬殺するなりじわじわいたぶるなり、楽しみ方は色々あるから」
『えぇ…………』
「ハイ引いて!公平に澪織から!」
会話を遮るようにデニス君が手を叩いてそう言った。
「早く早く」
隣からユーリ君が煽ってくる。
……どうやら逃げ道は無いらしい。
私はとうとう観念して、仕方なく、渋々、嫌々ながら伏せられた三枚のカードのうちの一つを手に取った。
続いてユーリ君、最後にデニス君が机の上のカードを引いていく。
そして、一斉に各々のカードを確認した。
『………………こうなると思ってたよ……』
「当然」
「あちゃー」
ただ一人ユーリ君だけが得意げにトランプカードを掲げているように、私との対戦権たるジョーカーのカードは彼の手に握られていた。
……正直、このような運命力が試される決定方法をしたらどうせこうなると思っていた。
笑えるほど順当な結果である。
「ま、澪織のデュエルは見れるんだからいっか。ボクはまったり観戦させてもらうよ」
「そうと決まれば早く行こう、ほら早く」
手元のクイーンの札に苦笑いしていた私を急かすユーリ君が、手を引いて歩き出そうとする。
『行くって、何処に…?』
「訓練場」
『えっ、そんな所勝手に使っちゃ駄目なんじゃ』
「大丈夫。僕が良いって言ったら良いんだから」
「わぁー職権濫用だー」
『えぇ……』
色々な面で不安しかないのだが、私の困惑など気にも留めないユーリ君に連れられて私達は訓練場へと向かったのだった。
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