清掃員シリーズ 原作編

□あらすじ
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【epilogue】




数ヶ月後。

澪織はシンクロ次元に移り住んでいた。

D・ホイールの整備場でアルバイトをする傍ら、とある研究に勤しんでいた。

移住は家族に猛反対されたが、どうにか説き伏せた。

かつて家から逃げ出して融合次元へ行った時のような目的の無い家出ではない。

今の澪織には目標があった。

ライディングデュエルが普及しているシンクロ次元では危険な事故も多いせいか、リアルソリッドビジョンシステムによる義肢の研究が台頭し始めていた。

澪織は胸の内に抱く目標のために、その義肢研究に没頭しているのだった。

そこへ、澪織への差し入れを持った青年が現れる。

それはかつて融合次元で出会った黒咲隼だった。

彼がシンクロ次元で行われていた大会に参加しに来た時に偶然再会し、以来時折アルバイト先に顔を出すようになっていた。

初めに再会した際は義肢研究について軽く話した程度であったが、それから数日後、彼もその先の目的に気付いたらしく大急ぎで澪織の元へやって来たのだった。

現在の進捗──と言っても大した内容は無いが──を伝えつつ、他愛の無い世間話や他に話すあても無い思い出話などをするのが彼と会った時の常だ。

隼が去ると、澪織は休憩がてら差し入れの菓子を食べながら端末で大会の結果などを眺める。

近頃は旧知の人達がプロデュエリストとして活躍し始めているニュースがちらほらと耳に入るようになっていて、澪織はそれを感慨深く聞いていた。

彼等が前に進んでいく姿を喜ばしく思いながら、自分も頑張らなければと気合いを入れる。

菓子の最後の一口を頬張って、澪織はまた自身の研究に腰を据えた。





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