清掃員シリーズ

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「でも困ったなぁ。僕はアカデミアを卒業してもずっと残って任務とかするつもりだったのに、澪織さんはアカデミアに居たくないなんて…………」

『ユーリ君ほんと任務好きだよね。普段任務の話してる時もすごく楽しそうだし』

「それはもちろん、デュエルできるからね。……あれ?デュエルできれば別に任務じゃなくてもいいかも…?」

『そうなの?』

「僕デュエルしたいだけだから」

『でもほら、プロフェッサーへの忠誠心とかは……』

「プロフェッサー?ああ、確かに今までたくさん楽しい思いをさせてもらった恩はあるけど、オベリスクフォースの奴等ほどの忠誠は無いよ。そりゃあ僕が抜けたら戦力ガタ落ちで困るだろうけど、そこは仕方ないことだしごめんなさいするしかないよね」

『あ、そういう感じなんだ……』

返ってきた言葉は彼らしい淡白さで、どうやら思っていたほどプロフェッサーのことを崇拝していたわけではなかったらしい。

……本当に、私は何をあんなに恐れていたのだろう。

この人はどうしてそんなことを聞くんだ、と思っていそうな表情をしたユーリ君に曖昧な笑みを返しながら、今となってはそれこそ笑うしかないほど無意味だった過去の葛藤を思い起こし脱力した。

「そうだ。アカデミアを出て、世界中旅してデュエルするっていうのも悪くないかもね。その僕の旅に澪織さんも着いて来るの。どうしてもアカデミアに居たくないって言うなら、そういうのはどう?」

良いことを思い付いた、と言わんばかりに指を立ててユーリ君はこちらに視線を向ける。

『二人で色々なところに旅するってこと?……うん、良いかもね』

「でしょ?名案だよね、さすが僕!」

『ふふっ、そうだね』

誇らしげな彼に、私も笑みが溢れる。

思い付きの発言だとしても、想像すればそれはとても心躍る提案だった。

ユーリくんと二人だけの旅路なら、今度こそ、何のしがらみも無く自由に日々を過ごせるだろう。

そして、彼と一緒ならその時間はきっと楽しいものになるはずだ。

そんな未来も悪くない。

『今度はユーリ君のことも教えてね』

気持ちも軽くなって、今までよりも少しだけ前を見ることができるようになった気がして。

弾む心を抱えながらまだ見ぬ日々に思いを馳せた。

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