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□目に映るもの06
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朝日が登り眩しい光につつまれる
11月になり日の出が遅くなった


「名前??」

寒空の下ベンチに腰掛けていると
学ランが近寄ってきた

「学ラン おはよう」

「おう、てか何してんだよ
んな格好で、寒く・・・はねぇだろうけど」

薄着の名前を見て
寒気が増したのか身震いする

「ん〜・・・散歩??
学ランは朝帰りだね」

「まぁな」

今更否定する気もないのか
彼女が可愛いかったのか
顔がほんの少し緩んだ

「名前髪伸びたな
切らねぇのか??」

隣に腰掛けてきて髪を優しく撫でる

(女子を触る手つきだ・・・)

「あー確かに
もーそろそろ切りに行かないと」

ニット帽からはみ出る襟足は肩下まで伸び
視界を遮らないよう分けられた前髪も
真下に下ろせば口元まであった

「その髪ずっと白いまんま伸びんのか
生まれつきか??」

「・・・うん」

「もしなんか事故とかで
白くなったんならブラックジャックだな
でもあれは右半分だったから名前みたいに
全部白いって相当辛いことあったんだろうな」

「・・・」

「そういや、お前好きなやついねぇの??」

(今日はずいぶん機嫌がいいな)

「なんでそんな事??」

「そういう噂聞いた事ねぇし
実際本人に聞いた方が早ぇじゃん??」

「いないよ〜
私なんかを好きになる人いないし(笑)」

「俺は好きだぞ」

肩を掴まれ
学ランと向き合う形になる

目は案外真剣だった

「俺と付き合えよ、名前
隣でちゃんとお前の事見て・・・」

言葉を遮りたち上がり真正面に立つ
呆気に取られた学ランに優しく耳元で囁く

「冗談も程々にね
あんまり遊んでるといつか刺されるよ」

「冗談なんかじゃ・・・」
ーーーゾクッ・・・

なおも食い下がる学ランを冷たい目で黙らせる
恐怖の色が浮かぶ学ランに今度は優しく
笑顔を見せその場を後にする

学ランはただ見送るしかなかった
公園を出てすぐにブラックと出会う名前の背中を








「おはようございます、ブラックさん」

「名前、散歩か??」

名前の存在に気付くと着ていた
スカジャンを脱ぎ名前に着せる

「ブラックさん風邪引いちゃいますよ!!
私は大丈夫な「いいから、着てろ」・・・」

慌てふためく名前が面白いのか
少し微笑んでいるように見えた

「あの・・・ありがとうございます」
ーーーニコ

「あぁ、これから朝食なんだ
名前も一緒に食うか??」

「はい!!」

ブラックの隣に並び
静けさ漂う住宅街に消えていく
ブラックは学ランに気が付かなかった
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