奔放自在な夢

□4話
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バタバタバタと慌てて走る足音が聴こえ、屯所内が騒がしくなる


「?何か起きたのか?」


と近藤さんが呟く


「廁の取り合いでもしてんじゃねえんですかィ?」

「なんで廁!?」

「きっとヤローども、ギリギリまで我慢してたんでさァ」

「そんなに時間が被るか!

つーか取り合いになるほど少なくねーよ」


総悟とくだらねー言い合いをしてると

_スパーンッといきなり襖が開く



「よォ、近藤いるかァ?

いんなら3秒以内に返事しろォ

…1」


_バンバンッ


「2と3は!?」

「男はな、1だけ覚えてりゃ生きていけんだよ」


と毎度毎度のお決まり台詞を言いながらとっつあんが出てきた


「…今度は何なんだ?」


とため息をつく

恐らくまた面倒事を押し付けにきたに違いない


「事務方が不足してるってきいてよォ

紹介したいやつがいんだよ

有り難く思えェ」

「紹介したいやつ?」


少し眉を潜める

とっつあんの紹介となると何となく厄介な人間な気がするのだ

近藤さんは単純に嬉しそうで、総悟は別にどうといった事もない感じの顔をしている


「おーい、入ってこーい」

「…失礼します」


少し高い声とともに入ってきたのは…女だ

しかも金髪で、この国の人間ではない顔立ちの

…天人のご時世に言うのもなんだが


「倭マリカです」


と軽く礼をされる

…ん?倭…マリカ?


「なあとっつあん、この子…女の子だよな?

流石に女の子は不味いんじゃ…」

「女の入隊は禁止なはずだぜ?」


と言うとなぜか倭の顔がパァァと明るくなる

そして嬉しそうに「入隊禁止ってことは働かなくていいからまた旅に…」と何か独り言を呟いている


「なあに、将ちゃんからのお墨付きなんだから心配すんな

将ちゃんが直々に任命したんだからよォ、なーんも問題はねーよ」

「上様が…!?

なら仕方ないか…」


既に逃げる体制になっていた倭の表情がガーンという効果音と共に暗くなる

あんまり乗り気ではなかったということだろう


「つーわけで宜しくたのまァ

あ、マリカちゃん、隊服は明後日ぐらいに届くだろうよ」


と、とっつあんは帰っていった


「ああ…

マリカちゃんだっけ?俺は局長の近藤勲

此方が副長の…」

「土方十四郎だ」

「で、此方は一番隊隊長の…」

「沖田総悟でィ」


とっつあんが帰ってから暫くフリーズしてたがはっとして


「…宜しくお願いします」


と言った


「上様直々の任命つってたが、刀は使えるんでィ?」

「いえ?"刀は"使えないと言ったけど、事務方は刀は使わなくていいって言われて…」

「なるほどねィ、確かに事務方は刀なんか使わねえもんな」


総悟は面白い物を見つけたかのように倭を見る


「…一つ聞いていいか?」

「はい?」

「お前は昨日の夜、俺に会わなかったか?」

「…?土方さん、ナンパですかィ?

会って早々ナンパたァ、流石手が早いねィ」

「ナンパな訳ねーだろうが!ちょっと黙ってろ

…で、どーなんだ?倭マリカ」
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