奔放自在な夢

□5話
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「隊服できんのはやいな…」


朝一番に届けられた荷物を見てそう呟く


一昨日の夜、部屋を与えられ、朝起きたら朝食の後に事情聴取をした

なんで逃げたとかどうやって逃げたとかいう部分をはぐらかすのが大変だった

最終的にマジックとういことにしておいたけど

その話をしている途中で箒がないことに気付いた

どこに置いてきたのだろうかと午後は明日のための休憩ということで町に出る許可をもらい、心当たりがありそうな場所をあたってみた

箒がなかったのは最初からだったみたいで最初の出発点である公園にあり、長谷川さんが預かっててくれたみたいで、お礼に一杯奢ったら泣きながら喜んでくれた。
…なぜ?

長谷川さんが箒が魔法道具ということに気づかなかったことに心底安心した

旧時代の道具だって知られたら絶対面倒なことに…

それに、箒は楽なので人目がないところでよく使うから見つかってよかった


「これで…いいのかな?」


なんかピッチリしてて気持ち悪いが、まあまあ可愛いと思う
スカートっぽくなって膝上まで上着あるけど、ズボンがついていて、幹部の方々同様スカーフもついている
夏暑そうだな…

いいのか、こんな待遇よくて…

平のはずだぞ平の


「行くか」


ーーー




マリカは襖の外から部屋の様子を伺ってた


「えー、不足していた事務方になんと上様からの任命で新たに隊士が加わった
しかもだな…聞いて驚け
…だれも聞いてねェな」


土方がバズーカを構え発射する

_ドカーン

(え、射っちゃうの!?)


「…………えー、事務方に上様の任命で新しく隊士が加わる」

「えー、まじですかー!」

(何事もなかったかのようにしてるけど全員アフロじゃん‼)


わざとらしい返事に土方はムッとするが近藤は話を続ける


「しかもだな、聞いて驚けー
なんと女の子だ、かなりの別嬪さんのな」

(局長、言い過ぎです。中身は生涯独身の処女を貫いた40のババアです)

「女…!」

「このむさ苦しい男所帯についにオアシスの花が…!」


などの歓声が上がるが


「テメェら、何浮き足だってんだ?

士道不覚悟で切腹させてやろうか?」


という土方のドスの効いた声で静かになる

(そんなに期待するほどの美人ではないからやめてくれー)


「マリカちゃん、入ってきてくれ」

「はい」


襖を開け、中に入る


「紹介に与りました、倭マリカです

そこまでの別嬪でなくて申し訳ありませんがよろしくお願いいたします」


軽く頭を下げると拍手をしてくれた


「それと局長、副長にお尋ねします

…なんで私の隊服にスカーフ着いてるんですか?」


そうだ、元々平だ私は


「…とっつあんの趣味だ」


「…」


どう答えたらいいにだろう…


「ああ、そうそう
将軍からのとっつあんへの伝言がとっつあんから伝言として伝わってきたんだがな」

「ややこしいわ‼」


茂茂殿…一体何を吹き込んだんだ⁉


「”マリカは政治にも商業にも兵法にも詳しく、沢山の学問を修めている。事務方に限らず、有効に活用してくれ”…だそうだ」


なに勝手なこと言ってくれちゃってんの!?
私、完全な幕府側じゃねェって言っといただろうが‼
そもそもこの国の人間じゃねーよ!!

人質的な扱いなのか?そうなのか?


「つまりは家に帰るなということかな、アハハ…」
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