奔放自在な夢
□3話
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「お前…その格好で行くのか?」
「え、どこか悪いところある?」
頭にターバンを巻いて顔を隠しているだけで他はいつも通りだ
「頭の布はなんですか?」
「顔を隠して目立たないようにするためだけど?」
「余計目立つわ!」
「えっ…」
目立ってたんだ…とショックを受ける
そういえばヅラさんは笠を被ってたっけ
この国では笠なのが常識だったのか…
「マリカ姉って意外とバカアルな」
と鼻で笑われた
グサグサ心に刺さっていく
「ほら、これ貸すからその布外せ」
と銀さんが笠を貸してくれた
ーーー
ー
「刀を直して欲しいって?」
銀さん達に連れられてきたのは鉄子さんという人の鍛冶屋だ
「はい、ほとんどが焼身で…」
とリュックから刀剣類をすべて出す
鉄子さんが刀を見て固まってしまった
「じゅ…数珠丸恒次!?」
「あー、これ後で茂茂殿に持ってくから優先して欲しいんです」
「わ、分かった
これとその錆だらけの短剣は直ぐに直せる
ただ焼身の刀はそっくり元通りにはならないかもしれない
なにか資料とかないのか?名前だけでもあれば調べれるかもしれない」
「うーん…確か太刀が左から'小豆長光'と'雷切'、'新身国行'
大太刀が'物干し竿'だったと思います」
前にじっくりと見た時に見つけた名前や資料を見てほぼ一致していた名前を思い出し挙げていく
「数珠丸恒次ももちろんすごいが…これらもなかなかのものだ」
と焼身の刀に見いる鉄子さん
「よく分からないアル
物干し竿って服干すあの棒アルか?」
「その物干し竿じゃないな
これに服干したら全部切れるよ」
神楽に苦笑いで答える
長すぎて斬るのに向かぬという意味で物干し竿と呼ばれたと資料にあった
「高そうなのは分かるんですけど…
どのぐらいの価値があるものなんです?」
「これらは重要文化財…国宝にもなり得るものだ
私自身そうお目にかかれる代物じゃない上
遺失したと言われてたもの、幻に近い
さっき言ってた備前長船長光_通称'物干し竿'は巌流島の戦いで宮本武蔵と戦った剣豪佐々木小次郎の愛刀だ」
と説明してくれた
「佐々木小次郎…聞いたことあります
その人の刀…!」
パチ君は刀をみて感心しているみたいだが、銀さんと神楽はふーんといった感じであまり興味なさそう
神楽は夜兎っていう天人だから知らないだろうし銀さんにとってはどうでもいいことだからかもしれない
あらまぁ、どうしよう
そんな重要な物だったなんて知らなかった
でも茂茂殿に渡すのは数珠丸恒次だけにしておこう
あとのはいざというときの交渉道具にという口実で取っておこう
…良いものだから手放すのは惜しいし
「お願いできます?」
「ああ、私で良かったら喜んでやらせてもらうよ
数珠丸恒次と短剣は一時間後に取りに来てくれ」
と言って刀剣類を纏めて作業をし始めた