小説
□雨ざらし
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R-side
まただ。
いつものように学校に着くと、私のロッカーから教科書類が放り出されている。
もう慣れたと言ってしまえばそれまでだけど、私は俗に言う苛められっ子だ。
自分から話しかけに行くことも出来ないし、話しかけられても当たり障りのない事しか言葉を交わせられない。
この性格が災い(元々1人が好きだから、こういうのが正解か分からないけど)して、私は苛められるようになった。
慣れた手つきで、廊下に放置された教科書達をロッカーにしまうと、自分の席に着き小説を読み始めた。
友達もいない私にとって、本は唯一私の心に寄り添ってくれる存在だった。
そんな時間を最近邪魔してくる子が居る。
「玲奈ちゃーん、おはよう!」
ほら来た。
学校一の人気者、珠理奈。
そんな彼女がこんな私に何の用だろうか。
正直、冷やかしならやめて欲しい。
「…」
「玲奈ちゃーん?聞こえてる?」
「なに」
「おはよう!」
「…おはよ」
「ねえねえ、今度さ遊びに行こうよ!」
私は素っ気なく返事をしているのに、珠理奈は止まらない。
だいたいこの子は気づかないのだろうか。
珠理奈と話している私に向けられる視線が痛いのに。
余計な荒波だけは立てたくないのに。
「玲奈ちゃん遊園地とか好き?あたし大好きなんだよね!今度行こう!」
「…めて」
「遊園地と言えばアトラクションだよねぇ。あ、でもさ意外とメリーゴーランドとかも楽しいん」
「やめてよ!」
瞬間、それまで騒がしかった教室が静まり返った。