明々煌々

□つかの間の休息
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side Keyneth

我が師は、本当に優れた人だ。

長年の経験と鋭い観察眼で得た情報、そしてその強大な力でもって、その場を思い通りに操っていく。

…つくづく、敵でなくてよかったと思う。


今回も、よくよく練られた計画は、もちろん師匠の思惑通りの結末に成った。

しかも、最小限の犠牲で最大限の成果が出せたのだから、さすがとしか言いようがない。


――最小限の犠牲というのは、ランサーの宝具のことだ。

奴の武器破壊は、師匠のシナリオにはなかったというからな。

まったく、計画の大筋に支障はなかったからよかったものを…ランサーは少し図々しすぎやしないか。

ソラウのこととて、彼女の演技だったとはいえ、魅了の黒子などといったふざけたものを顔につけているのも腹立たしい!


…ランサーのことはもう考えないようにしよう。

どうにも、奴に対しては負の感情が強くなってしまうようだからな。



師匠によれば、私の体はすでに魔道回路は回復されていて、あとは身体機能の修復だけなのだそうだ。

自分では、全く自覚がなかったが。

実は、キャスターが討伐される前には、前のように魔術が使えるようにはしてあったらしい…うむ。


残る筋肉や臓器の再生は、もうソラウだけでも可能らしいので、我々はこれから戦線離脱して治療に専念するよう、師匠から命じられた。


…さすがは私の許嫁。

ソラウの霊媒治療術は、かなり高度なもの。

可愛らしいだけでなく、優秀なのだから素晴らしい婚約者だな、ソラウは。


今回のことが終わって、ソラウの気持ちも再確認できたし、私たちはよい夫婦になれるだろう。


師匠にも、聖杯戦争が終わったら挙式するように勧められているし、私とソラウの実家も、それぞれそのつもりで準備をしてくれている。


まあ、ソラウはそのことを知らないが…イギリスに帰ったら、サプライズで挙式する予定だ。

もちろん、ソラウ好みのドレスや式場、指輪も徹底的にリサーチして用意済みだ!

師匠にも確認してもらってGOサインが出たので、間違いはあり得ない。


ああ、早くイギリスに帰ってソラウの驚く顔が見たい。


…聖杯戦争?師匠の勝利で間違いないのだから、心配するだけ無駄だろう。

私は、師匠の指示に従って動くのみだ。


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