刀剣乱舞
□鶯の羽音
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「主、休憩に茶でもどうだ?」
『鶯丸』
この本丸の審神者が執務室でパソコンで仕事をしていると最近本丸に迎えた刀剣男士だ。
パソコンの時計を見れば仕事を始めてから結構経っているし、休憩に丁度いい時間だと大きく伸びをし、鶯丸の提案に乗ることにしてイスから立ち上がった。
『どう?ここの生活には慣れた?』
執務室の前の縁側に座り鶯丸の淹れた茶を飲みながら審神者は聞く。
「ああ。平野や他の者もよくしてくれている」
『そっか』
この本丸の審神者として刀剣達の様子を気にしているが鶯丸は問題なさそうで安心する。
湯呑の茶が半分程になった頃、審神者はそう言えばと口を開く。
『お茶、鶯丸が淹れてくれたんだね。ひらのんに頼んでるのかと思った』
「ああ、平野の淹れる茶は確かに美味い。だが俺の淹れた茶を主に飲んでほしくてな」
『うん、鶯丸の淹れるお茶も美味しいよ』
「そうか」
審神者が美味しいと口にすれば心なしか鶯丸は喜んだ。
そしてそのまま大包平の話を始めた。
鶯丸の大包平の話に一区切りがついた時、鶯丸と審神者の湯吞が空になっている事にどちらともなく気付く。
「主、茶のおかわりはいるか?」
『うん、じゃあ…あ、ちょっと待って』
もう一杯貰おうと思ったが審神者は自室の冷蔵庫にある物がある事を思い出し、立ち上がると鶯丸にちょっと待っててと一言かけて自室へと向かった。
審神者の自室は執務室のすぐ近くであるため時間はそんなにかからず、目当ての物とコップを二つ持って鶯丸の元へ戻る。
『これ、鶯丸に飲んでみてもらいたかったの!』
そう言ってコップに注いだのは緑色の飲み物。
「主、これは茶か?」
『うーんと、お茶というか抹茶、抹茶オレだよ』
抹茶オレの入ったコップを鶯丸に渡せば、鶯丸は興味深そうに一口口にした。
「これは……なかなか美味いな」
『ホント!?気に入ってくれた?!』
「ああ」
鶯丸が素直に頷けば審神者は嬉しそうに顔を綻ばせる。
『あたし抹茶オレとか抹茶味の食べ物が好きでね、お茶が好きな鶯丸も好きになってくれたらいいな〜って思ってたの!気に入ってくれたなら嬉しい』
「ありがとう主、こんな美味い茶を教えてくれて」
『うん。他にも抹茶アイスとか抹茶のチョコレートとかあるから今度食べようね!』
抹茶が好きな審神者は好みの合う相手が見つかって嬉しいのかニコニコしながら自分も抹茶オレを口にする。
「主、これからも主の好きなものを俺に教えてはくれないだろうか」
『へ?いいけど、何で?』
「好いている相手の好みを知りたいのは誰だってそうだろう。俺はもっと主の好きなものを知りたい」
鶯丸の瞳に射抜かれて審神者は目を逸らす事が出来ず、顔にどんどん熱が集まり熱くなってくる。
どういう意味?と聞くことが出来ず審神者を探しに来た初期刀の山姥切国広が来るまで鶯丸と見つめ合っていた。
終わり