銀魂

□【近土】拾い猫
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「うっ……寒ぃ」

 冬が本格的に始まった十二月。
こたつも暖房器具もなにもない屯所は
外の気温とあまり変わらない。
武士がこたつに入っていいわけがない、と
トシはいうが、もう俺も三十路に近い。
手足は冷えたら冷えっぱなし。
こたつとはいわないからせめて
ストーブを買いたいと思う毎日だ。

 書類を書くにも手が震えるから
布団を何重にもしてその場凌ぎで書いている。
しかし、布団も意味をなさない寒さだ。
こんな状況で見回りなんぞ、死んでもやりたくない。
……なんて、トシに言ったら切腹しろとか言うんだろうな。


 そういえば、トシはどこに行ったのか。

 さっきまで煙草を吸おうとしていたが、
煙が気になると言って外に行ってしまったな。
俺は煙なんか、気にならないのに。

 そういう仲になってから、煙草を気にしだした。
俺に健康の害を与えたくないと。
そんなことを言うのだったら、俺から言わせてもらうと
トシに禁煙をしてもらいたいが、無理に決まっている。

 そもそも、俺自身は健康なんか気にしていない。
だから存分に俺の前で吸っていてほしい。

むしろ、そんな理由で俺の前から居なくなると
避けられているみたいで嫌だ。
……なんて、言えないか。
本人は気を使ってそうしているんだから。



『ドタドタドタ!』

「……ん?」

 廊下を走る音がする。
いつもは聞こえない……んじゃなくて、
走る度にトシが注意するのだが。

 トシは今居ないが、トシにばれたら色々大変になりそうだ。
トシに言われる前に、俺が注意してやるか。

 書類を机に置き、スッと立ち上がる。
障子を開け、廊下で大声を出す。


「おい、廊下を走るとトシに怒られ……」

「あっ……近藤さん……」




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