進撃の巨人

□【モブハン】暴走してもいいんだね?
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 あんなことを言われるだなんて思っても見なかった。
……しかも、あの先輩に、だ。



***



 二時間前。時計を眺めると十六時だった。
部活を止め、そろそろ下校の準備をしないと
いけなくなる時間だ。
俺は荷物を鞄の中に入れ始める。

 部長の彼女も帰りの準備をする。
ソニーとビーンを見て、
帰るのが名残惜しい様な表情を浮かべながら。

 そんな時に唐突に言われた。



「ねぇ、モブリット。私と付き合ってよ」


「…………は?」



 唐突に言われた俺は、目を丸くして、
ただ呆然とするしかなかった。

何故彼女がこんなことを言ってくるのか。
何時も巨人巨人巨人巨人。巨人にしか目がないあの先輩が、だ。
彼女の脳内には、何があったのか。

 しかし、俺はこんなこと、慣れている。
どうせ『食事に付き合ってよ。モブリットの奢りで』とか、
『巨人の買い物付き合ってよ。モブリットが全て払うけど』
とか、見も蓋も無いようなことだろう。そう思ったのだ。

だから、それなりの対応をした。

「今日は俺のお金で何処に行くんですか? ファミレスですか?」


 呆れ顔、溜め息。嫌だよオーラがわざと伝わる様に
俺は自分の全ての力を使って演技をした。
……それでも、鈍感な彼女は
『うん、ファミレス良いね! モブリット解ってるじゃん!』
などと返すと思う。

そうなると、嫌々ファミレスに行き、五、六人分程の
料理を奢らないといけないので、それは出来るだけ避けたい。

 ……そう、思っていたのに、思わぬ事を言われた。


「……うーん。言葉が悪かったかな? 私は『交際』をして欲しいんだよ」


「…………えっ」



 俺の冷や汗がぽたりと床に落ちた。
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