メインディシュ

□独占ストリートビュー
1ページ/4ページ

放課後を知らせるチャイムが鳴ると同時にニコが立ち上がり、教室を出ようと扉に手をかけた。何をそんなに急いでいるのか。
「おいニコ! 急ぎすぎだろ!」
「タミヤは遅すぎるんだよ!早く来い!」
「あー、分かったよ。カネダ、ダフ。先に行くからな。ごめんな。」
鞄を掴み、ニコの後を追う。後ろの方でカネダが寂しそうな顔をしているのが見えた気がした。後で何か埋め合わせをしよう。今はニコを追わなければならない。
やっとの思いで息を切らしつつ玄関まで辿り着く。顔を上げると下駄箱の前に、ニコが立っているのが見えた。置いていくと言った割に待ってくれているのだろうか。
「待ってくれてんのかよ。優しいなーお前ー。」
「あ……ん、なわけあるか!」
ニコの様子がおかしい。なんだかぼうっとしいるような。
「おい、靴。」
「あ、ああ」
「何もぞもぞしてんだよ。なんか隠してんのか?」
「ああ!? ふざけんな! なんも隠してねえよ!」
「本当か? 見せてみろ!」
ニコが無言で俺の胸を突き飛ばした。体格に恵まれているお陰で少しよろけた程度で済んだ。もし、カネダやダフみたいに小柄だったら転げていただろう。
「何すんだよ!」
「あ、おい!!」
片手でニコの肩を掴み、身体を割り込ませるように退ける。そこには、罵詈雑言が書かれた汚い紙とホコリのようなゴミが無造作に置かれていた。ニコは、これを見られたく無かったのか。俺はその紙を掴み、ポケットに突っ込んだ。
「な、何を…………」
「……俺たちは何も見なかった。ほれ、クラブ行くぞ。アインツ。」
ニコは何か言いたげだったが、俺が腕を引っ張り歩き出すと何も言わずに歩みを進めた。俺の心臓はばくばくと鳴っていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ