EXO庭園物語

□鳥籠の外へ
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〜〜〜♪
〜♪



ベクが待っている間


何処からともなく聞こえる声



「美しい」
「あれは女か」
「女形であろう」
「肌も白く透き通っておるぞ」
「見ろ、あの美しい指」
「足も妖艶であるな」








色めかしい舞いではあるが

べくの妖艶さが

更に舞いを引き立たせているのだ








それだけならよかった





それだけならまだ良かったのだけれど
亦凡様の目に止まらないはずがなかったのだ




「ギョンス、この舞いをしているのは
花形役者か?」


「いえ、役者の
修行中のものでございます

お気に触りましたでしょうか

すぐに止めさせますのでおまちを」







「いや、止めるでない
実に美しいではないか

修行中とな?
では花形役者になりたいのか」



「ええ、そう申しておりました」




「名はなんと言う?」




















「旦那様、いかがでしたでしょうか」


亦凡様の目の前に座り
そう聞くのは舞い終えたベク





「御前、実に美しいな

名はなんと言う?」






「ビョン・ベッキョンと申します」



「ベッキョンか、良い名前であるな。
御前は女形になりたいとな?」



「はい、
女形として歌舞伎をするために
六つの頃から芸子屋におります」




「今はいくつだ?」




「十八でございます」




「十八か、では大丈夫だな」







嫌な予感がしていた

だからベクを
ここに連れてきたくなかったのだ


だけど女形は居なかったから
仕方なくベクを…






「ギョンス、」




「はい、何でしょう?」







この次に言われる言葉は前と同じ




『ベッキョンを
我が茶屋へ引き入れようではないか

ベッキョン、女形になるためには
オナゴの気持ちを知らぬとなれぬのを知っておるか?』




「いえ、存じ上げておりません」



「では、女形になるために
精進するがよい。

ギョンス、それで良いな?」






「ベッキョンはまだ」




「何だ?





異言でもあるのか?」






「いえ、




分かりました」








断れなかった


私はまたルハンのような子を
生んでしまったのだ



守ってやることも出来ない…





許してくれ、ベッキョン



ーーーーーーーーー



「皆、ベッキョンを
女形の歌舞伎役者になるために
我が茶屋へ正式に引き入れることを決めたぞ」



亦凡様の言葉に


どっと湧く周りの歓声など

もう耳には入ってこなかった














連れてくるのではなかった

断るべきだったと後悔してももう遅い





私は
自分の首が跳ねられるのが怖くて

ベクを守れなかったのだ
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