なんでだろう、涙が(ヒロアカ)
□敵襲
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「どこだよ…せっかくこんなに大衆引きつれてきたのにさ…オールマイト…平和の象徴…いないなんて…子供を殺せば来るのかな?」
敵の1人が無邪気に言う。
「敵ンン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎんぞ!」
「先生、侵入者用センサーは!」
「もちろんありますが……!」
みんなが混乱したように叫ぶ。それはそうだ。あの雄英高校に敵襲など聞いたことがないし、想像もしないことだ。
「現れたのはここだけか学校全体か…何にせよセンサーが反応しねぇなら向こうにそういうこと出来る”個性”がいるってことだな。校舎と離れた隔離空間。そこに少人数が入る時間割…。バカだがアホじゃねぇ、これは何らかの目的があって用意周到に画策された奇襲だ」
轟くんの相変わらずの冷静な判断と言葉に少し頭が冷える。
敵の数はある程度落ち着いたように見えるが、数え切れないほど敵はいる。それが一斉にこちらに向かって歩いてくる。
一番最初に動き出したのはやはりプロヒーローたちだった。
13号と上鳴くんに指示を出したお父さんは、静止する間も無く、単独で敵の中に向かってしまった。
緑谷くんの言う通り、お父さんは集団戦は得意じゃない。ついでに奇襲戦じゃない、こういう意表をつけない戦い方もだ。
「一芸だけではヒーローは務まらん」
そう言うと一瞬のうちに3人5人と敵を倒していく。
知ってる。お父さんがちゃんと強いこと。
でも、そういうことじゃないよ。
「すごい…!多対一こそ先生の得意分野だったんだ」
「分析してる場合じゃない!早く避難を!!」
飯田くんの言う通りだ。今はとにかく逃げないといけない。お父さんも私たちがいるから思うように戦えない。人質になんてなったら最悪だ。
分かってる。ちゃんと分かってる。
でも、私……
「何をしてるんだ、相澤くん!」
飯田くんが急かすように話しかけてくるが、足がちっとも動くような気がしなかった。
「先生なら大丈夫!一緒に行こ」
麗日さんがにっこり微笑んで、私の手を引く。でも、その手は確かに震えていた。
みんな不安なんだ、でも。
お父さんならきっと大丈夫。私たちは応援を連れて来るのが仕事。
大きく深呼吸して、瞬きを繰り返す。そして私は麗日さんにうなずきかえした。