なんでだろう、涙が(ヒロアカ)
□入試
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私の未来はほとんど決まっている。
今日家に帰ったら、多分お父さんに一発殴られることは覚悟しておかないと。滅多に暴力を振るうタイプじゃないけど、さすがにやばい。わかってる。
でも、相談したもん。相談して、反対されてどうしても諦めきれなかったからしょうがないじゃん。お父さんは私にヒーローになってほしくないんだろうけど、私がなりたいんだから仕方がないじゃん。ねえ。
そうやって、開き直ってやってまいりました!
そう、ここ雄英高校に!
試験会場は人でごった返していて、300倍という嘘みたいな倍率を体感する。本当に合格できるのかな・・・いや、考えても無駄だ。やるしかない。
はい、大丈夫、と深呼吸している私の横には、何やらブツブツつぶやいている男の子と、緊張した面持ちの女の子がいる。
そう、皆緊張しているのだ。当たり前。私はベストを尽くすだけ。
私は木刀を片手に開始の合図を待った。
最初に言っておくと、私の個性は所謂テレポート。つまり瞬間移動だ。個性は身体能力であり万能ではない。私の個性にはたくさんの制約が付きまとう。
一言で言えば、私の個性はヒーロー向きじゃない。
だから、何度もヒーローにはなれないと言われたし、ヒーローにはなれないと自分でも思った。どうせ死ぬだけだ。無駄なあがきに終わるって、そう言われた。
それでも、それでもやっぱり、ヒーローが良かった。ヒーローになりたかった。雄英が良かった。
お父さん、ごめん。私、ヒーローになる。