なんでだろう、涙が(ヒロアカ)
□名前をつけよう!
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雄英体育祭から3日後。今日からまた学校が始まる。
あいにく天気は雨模様だ。雨は嫌い。お父さんと傘をさしながら歩いて登校する。
学校に着くと、もうクラスメイトのほとんどが教室にいた。
「おはよう、七瀬ちゃん!ねぇ、七瀬ちゃんもいろんな人に話しかけられた?」
葉隠ちゃんがそう質問してくるのに、首をかしげる。
「どうして?」
「体育祭でみんな注目されて、いっぱい声かけられたって!」
芦戸ちゃんがそう教えてくれるが、特に私は思い当たる節はない。今日登校するときも何にも言われなかったなぁ。
私が今朝のことを思い返しているとチャイムが鳴った。騒がしかった教室も静まり返り、全員が席につく。
「おはよう」
お父さんが時間ぴったりに入ってくる。
「相澤先生包帯取れたのね、良かったわ」
お父さんを見て梅雨ちゃんが言う。ほんと、そう!取れてよかった!私も介護から解放されるってもんです。
「んなもんより今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ」
特別!?その言葉に目を見開く。
え、もしかして、小テスト?まじ?私、ヒーロー関連の法律とかホント嫌い!無理!抜き打ちとか、サイテー!!
教室が緊張で静まり返る。お父さんがおもむろに口を開いた。
「“コードネーム”、ヒーロー名の考案だ」
「胸膨らむやつきたぁぁぁぁ!!!」
予想外の内容にクラスメイトの大半が立ち上がって喜びを露わにしている。私も立ち上がるほどではないが、ガッツポーズを決めた。ありがとう!!
するとお父さんは殺気とも呼べる圧を教室中に放ち、歓喜のムードを一瞬にして静まり返らせたのた、
その様子にちょっと笑ってしまう。お父さんに睨まれて、咄嗟にうつむく。
「というのも先日話した“プロからのドラフト指名”に関係してくる。で、その指名の集計結果がこうだ」
そう言ってお父さんは黒板に名前と数字を書いていく。
轟 4123
爆豪 3425
相澤 503
常闇 360
飯田 301
上鳴 272
八百万 108
切島 68
麗日 20
瀬呂 14
だいたい順位どおりという感じだ。私のところには約500件きているみたい。なかなか多いんじゃない?
13号のところの事務所あるかな……!
それにしても爆豪くんと轟くんの順位逆転してるのは、面白いなぁ。
「この結果を踏まえ……指名の有無に関係なくいわゆる職場体験ってのに行ってもらう。お前らはUSJの時一足先にヴィランとの戦闘を体験してしまったが、プロの活動を実際に体験してより実りある訓練をしようってこった」
それでヒーロー名かぁ・・・
「まァ仮ではあるが適当なもんは……」
「付けたら地獄を見ちゃうよ!!」
そう言って途中から割り込み教室に入ってきたのは、ミッドナイトだった。
「その時の名が世に認知されそのままプロ名になってる人多いからね!」
カッカッとヒールの音を立てながら、色気のあるポーズで歩く。朝からすごいな。
「まァそうゆうことだ。その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう。俺はそういうのできん」
だろうなぁ・・・お父さんの名前もマイクにつけてもらったって聞いたことあるし・・・
お父さんは寝袋を取り出す。完全に丸投げするつもりらしい。担任、それでいいのか・・・?
代わりのミッドナイトはやる気満々に教壇に立つ。
「将来自分がどうなるのか名をつけることでイメージが固まりそこに近づいていく。それが“名は体を表す”ってことだ」
教壇の横で寝袋に入って、寝息を立て始めたお父さんに私はため息をついたのだった。