なんでだろう、涙が(ヒロアカ)
□体育祭当日!
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「だーかーらー」
「嫌だって言ってるだろ!」
「いーじゃん、別に減るもんじゃないんだからさ」
「七瀬、お前、面白がってるだろ!!」
嫌がるお父さんの口に無理やりスプーンを突っ込む。むぐっと声を出して、眉をひそめている。しかし咀嚼し始めたのを見て、私は満足する。
お父さんは両手を怪我していて今は満足に箸も使えない状況だ。というか、顔の骨折のせいで流動食しか食べれない状況。
お父さんは学校では専らゼリー飲料ばっかり食べているらしいが、やはり米とか食べるべきだよねと思っておかゆを作り、こうやって甲斐甲斐しく口に入れてあげているわけである。
なんてできた娘なんでしょう。
しかし、私に食べさせてもらうというのが心底嫌らしいお父さんは、全力で拒否していた。が、それを許す私ではない。だいたい包帯巻くのとか、傷に薬塗ってあげるのは許すのに。それと同じじゃないか。
「体育祭に向けて、訓練してるか」
「うん、走ってる。体力つけようと思って」
「お前体力ないもんな」
お父さんが馬鹿にしたような顔で言ってくる。
今、お父さん雛鳥なんですけど。立場わかってる?
「お父さんうるさいなー」
口の中にスプーンを突っ込んで強制的に黙らせたのだった。