鎖に縛られし蝶
□五話
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~神田視点~
アイツの話を聞いて
俺は驚いて、ただジッと聞いていた
いや、そもそも猫語だから実際は喋った所で通じたりはしないんだが
だが、一つだけ気になることがあった
アイツが話していた“黒いキューブ型”が液体化したという
あれを飲んで傷が直ぐに治ってしまうということだった
……どういうことだ?
しかもその後の記憶はないらしい
コイツに一体何が起きたんだろうか
普通では有り得ないことに、俺はずっとその事で頭でいっぱいだった
「ユウ?朝飯要らないのか?」
「……ニャー(…いる)」
けれど考え事はコイツによって(正確には飯によって)やめた
ツナってのは多少抵抗があったが、アイツが食わなきゃキャットフードにするぞと脅してきたので仕方なく食った
「よし、ちゃんと食ったな」
「…(よく言うな…)」
なんだか満足気にアイツはツナの乗った皿をみてきたので、ジト目で見てやるとまだ欲しいか?と聞いてきたので首を横に振った
「んじゃ、これ戻してくるか」
そう言って部屋を出ようとしたので、俺は部屋に居るのもつまらなかったので付いて行こうとアイツの肩に飛び乗った
「ん?ユウも来るか?」
「ニャー(暇だしな)」
「まぁいいや。落っこちるなよ」
俺を肩に乗せたまま移動した
肩に乗って分かったことだが、コイツの身体は意外と細い
やっぱり女だと改めて実感した
だからと言って俺は女だろうが関係ない
「あ、松本さん」
「おや?“稜凪”様、どうされたんですか?」
「皿を戻しに来た」