鎖に縛られし蝶
□三話
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朝、目が覚めた僕が最初に見たもの
それは……
「…っうお。びっくりしたぁ〜」
「ニャー(いつまで寝てんだ)」
そう、昨日拾った黒猫である
あれから猫に蕎麦をやった後、僕も自分の蕎麦を食べ終えて掛け時計をみると午後十時だったので、電気を消して寝た
「あー、そういやお前の名前決めてなかったなぁ」
欠伸をしながら僕は思い出したようにそう口にすると、いきなり睨み付けてくる猫
その目はまるで「名前なんていらねえ」と言っているようにみえた
「ん?名前いらないのか?でも名前ねぇとこっちが困んだよなぁ」
うーんっと唸りながら腕を組む僕に、猫は今だ睨み付けてくる
「………………ユウ…?」
「ニャニャ!?」
「なんだ?この名前が良いのか?…よし!お前の名前は“ユウ”な!」
僕はなんだかその名前がピッタリだと思った
……何故なのかは知らないけれど
「あ、名前の由来とかって言った方がいいか?」
視線を感じたので、猫の方に振り向くと猫は呆然とした顔で僕をみていた
だから僕は名前の由来を一応伝えることにした
「お前を拾った日、雨が降ってたろ?だから“ユウ”にした」
得意げにそう言う僕に対して猫は首を傾げた
「あー、どっかの言葉で雨を“ユウ”って言うんだと」
「………(あぁ、なる程な)」
そこまで言うと、猫もなんだか納得したようだった
「元気になるまではここに居ていいけど、いつでも出て行って構わないからな」
「……ニャ?(あ?)」
けれど猫は次の言葉にまた首を傾げた