鎖に縛られし蝶
□一話
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あれは、僕が考え事をしながら雨に濡れて歩いていた夜の日の出来事だった
「……ん?」
何処からか猫の鳴き声が聞こえた僕は、立ち止まりあたりを見渡す
「………」
何も聞こえない……気のせいか
そう思って僕は一歩前に足を出した
「ニャー・・・」
その時、確かに聞こえた
僕はまた周囲を確認して、少しの変化も逃さないように目を凝らした
ガサガサッ
「…あそこか?」
目に止まったのは、草がビッシリと生えて伸びまくっている荒れ地だった
草の高さは僕の腰より下くらいで、如何にも虫がウジャウジャいそうだった
虫嫌いな僕は、今すぐにでもこの場を去りたい気持ちでいっぱいだが、聞いてしまった猫の鳴き声が僕の頭の中に木霊する
「……よしっ!」
意を決した僕は、伸び放題の荒れ地の中を進んで行った
「……………あっ、居た!」
あれから数分後、僕は草を手で退けながら足元に注意して奥に歩いていった所で、草の隙間で倒れている黒猫を見つけ出した
「オイ?死んだか?」
グッタリしていた猫にそう尋ねてみた
しかし猫が人間の言葉を理解する訳が無いと、後に思い返した
だが───・・・
「……ニャア」
まるで返事をしたかのように、猫は目をうっすらと開けてジッと僕の方へと見つめてきた