拍手お礼一護夢

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表向きだけじゃ、


分からない気持ちもある





Like or Love.



唐突だが、人から見たらコイツってすげえ冷てえやつに見えると思うんだ。無頓着っつーか、仲の良いやつ以外まるで興味がねえっつーか。
顔は整ってるから、どんなに近寄んなオーラを本人が出したところで結構モテてるのが現実。俺は所詮友人A辺りだろうな。いや、例え友人Aでもそれは別に構わねえ。
なんてったって、友人Aになれただけでも奇跡に近いんだから。


「なー、お前ってさ」

「なに?」


下校途中、お互い一人の時にたまたま一緒になってほぼ会話もないまま並んで歩いていたとき、不意に疑問に思ったことを口にしてみる。


「彼氏とか、作らねーよな」

「…?一護がそんなこと聞くなんて変なの」

「いや、結構モテんのに今まで出来た話聞いたことねーからさ」

「そんなの、一護にだって言えるじゃん」

「…俺はモテもしねえし、そんな余裕もねえっつーか、な」


上手く質問の先が俺へとすり替えられていることに気づかないまま、ぽつりと呟く。興味があるのかないのか、ふーん、と返され、それ以上は踏み込んでこない。
必要以上の探りを入れてこない所はコイツのいいところで(ただ単に興味がねえだけかもしれねえけど)、居心地がいい。


「一護、鈍感だしね」

「あ?どこがだよ」

「…………………」

「………?」


急にだまりこんだ彼女に首を傾げるも、その表情からは何も読み取れない。


「おーい、聞いてんのか?」

「ん、聞いてるよ」

「お前な、言葉のキャッチボールくらいしろよ…。急に無視されると虚しいわ」

「あぁ、ごめん。ちょっと今考え事してた」

「?お前でも考え込むことあんのか…」

「たまにはね」


少しは反論してもいいだろうに、しれっとそう言い放つ彼女が怒りや悲しみを顕にするときなどあるのだろうか。


「で、何考えてたんだよ?」


人と話してる途中で自分の思考にとらわれるって、どんだけマイペースだ。と、今更ながらに心の中でひとりごちてみるが、コイツらしいとそれで丸く収まってしまうあたり随分自分は彼女に甘いみたいだ。


「一護が鈍感だってことをどーやったら分からせられるかなって」


へえ。一応は俺のこと考えてたのか。なんて内心妙に感心しながら少し嬉しくも思う。


「…で、どーやって分からせるのかは決まったのかよ?」


普段あまりアクションを起こさない彼女がどんな手段で分からせようとしてくるのか気になって先を諭してみると、無言のまま彼女の歩くスピードがゆるむ。
頭にはてなマークを浮かべつつ同じようにゆっくりと立ち止まれば、制服の裾をちょこんと掴まれる。
突然の行動に戸惑いつつも、視線をまっすぐ合わせてくる彼女から視線逸らすことができない。


「一護、あたしのこと好き」

「は、」


突然の質問に言葉につまりつつ、どこか期待する気持ちを抑えられない。


「…なんだよ、急に。そりゃ嫌いじゃねえけど」


戸惑いに揺れる瞳に気づかれないよう、そっと視線を落とす。まっすぐ見つめてくる彼女に動揺する自分を悟られないように頭の後ろをかいた。


「あたしは、すきだよ」

「…トモダチとして、だろ」


どきりと跳ね上がる心臓を無視して視線を逸らしたままそう問えば、小さく息を吐いた彼女が俺の制服からようやく手を離した。


「ほらね。鈍感じゃん」

「ああっ?じゃあ違えのかよ?」

「うん」


あっさりと頷く彼女に驚きながら視線を向ければ、相変わらず無表情なくせして真っ直ぐ俺を見つめたまま。


「本気で、言ってんだよな?」


自分でも赤くなってることを自覚しつつも、彼女の肩に手を置く。


「嘘だと思う?」

「嘘、みてえな話だけど…そんな嘘つくようなやつだとは思ってねえ」

「なら、返事は?」


そう言って見上げてくる彼女に、何もかも見透かされているようで、思わず言葉に詰まる。…そんなの、決まってんだろ、


「…俺も、お前が好きだ」

「まあ、知ってたけど」

「んなっ…!?」

「分かり易いもん、一護」


自分は鈍感なのにね。なんて言ってくる彼女にむっとして、顎をグイッと持ち上げる。仕返しとばかりに口付けて、さっと彼女から離れた。


「うるせー…、バカ」


これ以上自分の赤い顔を見られたくなくて、スタスタと早足で先を歩いた。


「…自分からしといて、あたしより赤くなってる」

「ッ…てめっ………」


バッと振り返ってみると、視線を斜め下に落とした彼女の頬が夕日のそれとは別にほのかに赤いのが見て取れた。


「お前、それは反則だろ…」


これから俺しか知らねえ彼女が見られるのかと思っただけで、


(また、想いが強くなっていく。)










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