short2

□過去拍手
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(恋人設定/尸魂界から帰ってきた一護)


‐‐‐‐‐‐





早く、ぎゅってして






(それはいつだって、あたしの所でありたい)






……ッ…



誰だろう…誰かが、あたしを呼んでる。…ような気がする。いや、気のせいかも。てか、眠いっての。静かにしててよね。



…いっ…お…って……!…



あーもう、誰!?
…なんかでも良く聞くと、懐かしいような、愛しいような…。そんな気がする声。それでも今のあたしにとっちゃ、やっぱりどう考えてもうるさいだけなんだけど。寝かせてくんない!?


「起きろっつってんだろ!!」


バッ!!


「ッひゃぁ!?」


思いっきり掛けていた布団を剥ぎ取られ、驚きと共に一気に寒さを感じて飛び起きる。低血圧なあたしにとって朝は大敵。寝不足の時に無理矢理起こされた時なんてそりゃもう冗談すら通じないほど機嫌悪いからね、あたし。ゆっとくけど!てか、さむ!?今の時期朝は冷え込むんだよその辺考えろっての!
…で、あたしの貴重〜な睡眠時間を削る命知らずは一体どこの誰ですか?


「お前なあ…!どんだけ爆睡してンだよッ??」


覚醒しきっていないぼやけた視界でもハッキリと分かるほど、目立つ燈色。いやいやまさか、とぶんぶんと左右に頭を振り再度目線を彼へと向ける。黒い着物姿で頭を掻きながら盛大に溜息を吐く彼は、間違いなく。


「い、い…い…っ!」

「…あ?」


寝起きのイライラだとかそんなもんを簡単に吹っ飛ばせちゃう人物なんて、あたしにとってこの世で1人しか居ない。


「い……一護ぉ〜!!」


「うぉわっ!?ッぶねェ…!」


勢い良く抱き付いたあたしに最初は怒っていた一護も、最終的には優しく頭を撫でてくれて、思わず涙が零れるところだった。


「久しぶり、一護…っ」

「おう…って泣くなよ!」


訂正します。もう涙、零れちゃってる。


「だってぇ…嬉しいんだもんっ…」

「あー…分かったよ、今だけだぜ?…ったく…」


ホラ、泣け泣け!と言って不器用に、それでも優しく頭を撫でてくれる一護に安心して目を閉じた。


「…帰ってきて、そのまま来たの?」

「あ?おー…まぁ、な…」

「体、入ってからきてくれても良かったのに…」

「うるせーな、なんつーか…その、早く…会いたかったンだよ…」


肩に顎を乗せられ、腰の辺りに回された手に力が篭った。きっと、今の一護の顔は赤い、そうでしょ?離れようとしたあたしの体を強く抱き締める一護が、何よりそれを物語ってる。


「って何言わせンだよ!」

「勝手に一護が言ったンでしょー」

「ンだよ…わーったよ、帰ればいいンだろっ」

「そ、そんな事言ってないじゃん!だめ!」


帰らすまいと、先程より強く抱き締めればヒョイっと持ち上げられた体。


「え?」


トサ…と軽い音を立ててあたしはベッドへと下ろされ、それに続くように一護もベッドの上へとあたしに跨るようにして乗る。


「帰る訳ねーだろ、アホ」

「ヒドいっ、帰ってきてすぐ彼女に対して暴言吐くヤツがどこにいんのっ!」

「うるせェな…ちょっと黙れ」


いつもより眉根を寄せた一護の顔が間近に迫ってきて、唇を塞がれる。噛み付くようなキスに驚きながらも、あたしも何故だか一護を求めるように深く口付けていた。


「はー…なンだよ、オマエもその気だったのか?」

「…?その気、って?」

「辛かったろ、禁欲」

「は…はぁ!?」

「二週間も耐えられるような体に仕込んだ覚えはねえンだけど」


微妙に上がった口角と、先ほどとは一変した態度に唖然としながら、こういう時にだけムダにサドスティックになる彼を思い出し頬が熱くなるのを感じた。


「一護、でしょ…それ」

「良く分かってンじゃねえか」

「え!?」

「こっちはお前不足で死にそうだったっつーの」

「………ばか、あたしもそうなんだから」



(おかえり、一護)(ただいま。今日は寝かせてやんねー)



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